【歌い手】画面の中の貴方に恋をする。【 伊 東 歌 詞 太 郎 】

た.予定 ページ12

少し歩き出して、私は口を開いた。







　「か、歌詞太郎さん‥」


　「はい!?」


　「歌詞太郎さんは明日、予定があるんですよね」









私は、帰りたくてとっさについた嘘だから









　「いえ‥実はないんです。真っ白ですよ。真っ白」


　「そうなんですか」









苦笑いを浮かべる。

面白い人‥なんだ。


駄目ですよ。

カッコイイのにプラス‥面白い人だなんて。








　「あー…歌詞太郎さんが羨ましいです」


　「え?」


　「私、歌い手始める前から歌詞太郎さんのことが好きで…」


　「そうなんですか」


　「それで、他の歌い手さんのことが見れなくなったんです」









だから、今日のオフ会で知らない歌い手さんばっかりだった。

本当、知ってるフリするの疲れた。









　「だから、今日のオフ会‥大変でした」








苦笑いをし、歌詞太郎さんの方を見た。

見たら、歌詞太郎さんが照れてた。







　「えっ…//じゃ、じゃあ‥僕のことしか知らなかったってこと…?」


　「はい。友人として先輩としてとしか知りませんでした」


　「そっか」







ちゃんと私のこと見て話をしっかり聞いてくれる。

どれだけ、優しいの…。









　「あの‥歌詞太郎さん」


　「はい?」


　「…明日、まだここにいますか?」


　「はい、午前中は‥」


　「じゃあ、午前中!!私にくれませんか!?」


　「え‥?キミ、予定あるんじゃ‥」


　「キミ、じゃなくてAって呼んでください。あと、帰りたくてとっさについた嘘ですから」


　「そ、そっか‥」


　「じゃあ、明日の午前の‥10時で」


　「了解です」









なんで、自分の本名名乗ってるんだろう。

(人1)って‥一回、名乗ったよね?






可笑しいな、なぜだろう。








　「あ、駅です!!あ、そこにホテルありますよね」


　「あ、本当だ。今日はありがとうございました」


　「いえっ…。私こそ」








案外、緊張せず出来たかも。

だって、








なんだか、私のことを知らないような顔‥してたから。




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