【歌い手】画面の中の貴方に恋をする。【 伊 東 歌 詞 太 郎 】

つ.送る ページ11

みんな空気が和んできたところで鎖那ちゃんが切り出した。








　「さてとー。ここの店は後にして。次は、カラオケでみんなの歌声調査でも――・・・」


　「あー‥鎖那ちゃん、ごめんね」


　「え?どうしたんですか?先輩」









きょとんとした顔で私を見る。

…そんな、顔で見ないで欲しい。


申し訳なくなるから。



私は席を立ち上がり、








　「ごめん。明日私‥用事あるんだ」


　「え!?そうなんですか?ごめんなさい。先輩、じゃあ‥先輩はお暇‥と言うことで!!」


　「‥また、会う‥と言っても、私が皆さんの仲間入り‥と言うことは出来ないと思いますが」








和やかに私は、最後に挨拶。

…別れるの、なんとなく寂しいなぁ。







　「また‥どこかで」


　「あ‥待って」


　「え?」









歌詞太郎さんが席を立ち上がって私を呼び止めた。









　「えっと‥鎖那ちゃん。僕も明日用事があるんだ。だから帰らさせてもらってもいい?」


　「はい!!いいですよ」








一瞬、鎖那ちゃんがニヤッと笑った気がした。









　「歌詞太郎さん送っていけばいいんじゃないですか!?」


　「え…!?」


　「今日、近くのホテルで泊まっていかれるんでしょ?」


　「あー‥うん。僕の家からここは遠いので泊まっていきます」


　「ホテル、駅の近くらしいですよ!!」








なんでそんな勧めるんだろう。








　「鎖那ちゃん、私大丈夫だよ。一人で行けるから」


　「いえいえ!!ダメです!!どう、です?歌詞太郎さん」


　「‥分かった。送ってく‥と言うか、そうするつもりだったんです」









あぁ‥乗らなくてもいいのに。








　「ありがとうございます!!じゃあ、ささっと帰って!!残念ですけど‥じゃあまた!!」








残念そうには見えない口ぶりだ。

…まぁ、いいけどさ。



二人してレストランを出たのはいいけど。








　「…‥」


　「…‥」







どうします、この空気と沈黙。




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た.予定→←に.涙

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