姉さんのオマケ［ワールドトリガー］

オマケ23 ページ23

母さんは私の方を見てニッコリと笑った

何時もあの人に向けている笑みとは違ったけどなんだか凄く嬉しく感じた。
この人が私に笑顔を向けるなんて五、六年振りで、初めてかもしれない母さんの顔を見たのは

そう思うとなんか体から力が抜けて椅子に座ってしまう


でもなにか変なそんな感じがしたけど今はそんなこと気にしなかった。
母さんはケースからギターを取り出し、強く、目に見えるくらい強く握る




「ねえ、こんなものが こんなものがあるから貴女はそんなになってしまったんでしょう？こんなことをしているから、貴女は藍とは全然違う望まない子になっちゃったんでしょう！藍のようにいい子にならなかったのはこれがあったからね、そうに決まってるわ！貴女は藍のように完璧にななかった理由が解った．．．あなたを救ってあげるわ」



伏せていた目を見開きこちらを見たこの人は、母さんは怖い。その一言に尽きた
目は見開き、光の無い虚ろな目で
ぶつぶつと言い、時々笑い声を漏らして
今まで1度も見たことのない、狂喜に満ちた顔 そんな顔をしている



「A、もう1度チャンスをあげるわ。勉強しなさい？こんなものを忘れて


母さんが貴方を堕落から助けてあげる」



母さんはゆっくりとギターを握る手を振り上げた、母さんの変貌に驚いて一瞬反応が遅れてしまった


「辞めてっ！！」

立ち上がり、手を伸ばすが届くはずもなく


私の、大切な 大切なギターは思い切り床に叩 き つ け ら れ た





叩きつけられる音、弦が切れる音が、嫌な程に頭に響いた

気の破片が散らばる、部品も散らばる、それがやけにゆっくりとスローモーションのように感じた



私の、存在意義が消えた



悩んで、辛くて仕方が無い時に出会った、私の相棒

ショーケースに並べてあった中で一番惹かれた、私の全財産を掛けてやっとのことで買った私の思い出



それが今音を立てて崩れていった

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