アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ34)

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22話苺味のキスページ34

「…ソファーまで運んでくれてありがとう…。 …あっ、パーカー、返すね…」
「良いよ。落ち着くんだったらまだ着てても」

…確かにコレも四ツ葉が存在すると言う証明になるので…結構四ツ葉の服を着るのは好きだ。なのでもう少しだけ借りる事にした。

「…A。…何か食いたい物有る？
献立決めてなくてさ。リクエストしてよ」

…そんなのは嘘だ。四ツ葉は冷蔵庫の中身を前の日に見て、献立を決めている。
好きな物食べて元気出せって事？
…本当に四ツ葉は私に甘くて優しいね。
確か昨日…卵が余ってるって言ってたっけ。じゃあ…

「オムライス…久々に食べたいな」
「子供みたいな可愛い物リクエストするなぁ。
…分かった。刻みピーマン大量のヤツ作るから」

…えっ…ヤダ…。私は、首を横に振って訴える。ピーマンだけは苦手なのだ。それだけは許してくれ。
…すると…四ツ葉は「冗談だよ」と微笑んだ。
…四ツ葉は甘くて優しいけど、たまに意地悪だ…。

「よし、じゃあ…作るか。あ、デザートにアイスも作ろうか。A、ダッツ何味食ったんだ？」
「味比べするの？」

四ツ葉は「うん」とだけ答えた。
…ダッツと張り合う気だ、この人…。
まぁ、私は本当に四ツ葉の作るアイスの方が好きだけど。

私は興味本位で「何味だと思う？」とクイズを出してみた。

……すると…四ツ葉は前触れも無く…私の唇にキスをし…その後、下唇を舌でペロッと舐めたのだった。

「…苺。正解？」
「…正解。 …でも最初から分かってたんでしょ？」

私の好きなデザートは苺系。
ソレはずっと一緒にいた四ツ葉だって知っている筈だ。

「キス、したかっただけ？」
「そうかもな。…嫌だったか…？」

四ツ葉が心配そうに尋ねる。
…嫌、か。綿貫くんにも言われたな。
彼氏でもない同居人にキスされて“嫌“では無いのか、と…。
でも、今キスをされても“何も感じなかった”。
「嫌、じゃないよ」と伝えると「そっか」と四ツ葉は頬笑む。

「…嫌じゃないんだったら…A…もっとして良い？ …苺味…もっと味わいたい…」
「味わうって…アイス、作るんじゃないの？」
「アイスより此方が良い…ダメ…？」
「…好きにして…」
「うん…じゃあ…好きにするな」

四ツ葉は私に深いキスを始めた。味わう様にゆっくりと舌を絡ませながら。
一度口を離したかと思ったら「もっと」と再び同じ様な深いキスを何度も何度も繰り返す。

…此処まで味わったら、もうアイス要らないでしょ…。