悩める弟＊半崎 ページ1
「義人くん、アイス溶けちゃうよ」
隣に座った彼女がふと呟いた。
その声にはっとしてアイスのカップを見れば、もうかなり柔らかくなってしまっている。
「……Aさん、食べるの早いっすね」
「いや義人くんが遅いんだよ。どうしたの、上の空じゃん」
残りのアイスを急いで口に含むオレの頭をポンポンと撫で、「悩み事か〜？」なんてAさんは微笑む。Aさんはオレよりいくつか年上なのだが、よくこうして子供のような扱いをしてくるのだ。それが今のオレにはひどく複雑だった。
「別になんでもないっすから」
「なにそれ！お姉さん寂しいなぁ」
「……」
またそうやって。彼女はきっとオレを弟とかそういうものとして可愛がってくれてるだけ。
オレが思うような、こんな気持ちはきっとほかの誰かに向いている。
何をしててもあなたの事を考えてしまって、あなたが隣にいるとそれだけで胸がいっぱいになってしまう、こんな気持ちなんて。
「きっと、Aさんにはわかんないと思うんで」
オレはそっぽを向いてそう言うことしかできなかった。機嫌が悪いと思ったのか、彼女はまた頭を撫でた。本当はオレからだってしてみたいのに。
彼女の無邪気な顔がいつも悔しかった。
必死なのはオレだけだった。
「あ、そういえばちゃんと勉強してる？忙しいのはわかるけど……」
「あー……」
「やってないのね……。じゃあほら、一緒にやってあげるから準備して？」
「うわっ、マジかよ。ダルいっすわ」
それでも何もできないまま、今の関係を守り続けてるオレはとてつもなくダサい意気地なしで、彼女にふさわしい人には一生なれる気がしない。
しかし今のままでいいのかと言えばそうでもないはずだ。
そして始まる、いつもの堂々巡り。
「手止まってるよ。わかんないとこあったの？」
誰のせいだと思ってんだよ。
溶けたアイスも、手につかない勉強も、全部あなたのせいだろう。
「本当にほっとけないなぁ、義人くんは」
せめてあなたの方から消えてくれたら楽なのに。
期待させるのはもう、やめてください。
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北郁(プロフ) - 紫苑さん» リクエスト、誠にありがとうございます！完成まで気長にお待ちいただけたら幸いです…！ (2017年4月21日 1時) (
レス) id: 9d0a9f3018 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 生駒さんで二個下の弟子兼恋人設定でお願い致します。 (2017年4月20日 17時) (レス) id: 646ed6f85a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北郁 | 作成日時：2017年4月20日 1時
