４つの物語 (ページ16)

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城を抜け出そう - ９ページ16

「で？何でまたこんなことしてるの？セラさん。」

「ここは、人間の住む国。吸血鬼が住んでるな
んてありえない。何かあってからじゃ遅いのよ。」

「やたら毛嫌いしてるね。」

「 …嫌いなのよ。白い族種が。」

…この人も、ただの人間じゃない。

魔女だ。

元々、森に住んでいたはずなのになぜ…？

それに嫌なほど感じる

魔力じゃない何か

これは…

殺気。

『危ない！！』

「わっ！」

「ちっ、」

あと少し反応が遅ければ

『ジョンデ！！』

「平気、大丈夫だから。」

彼女の魔法は

ジョンデに当たっていた。

『あんたの狙いは私のはず。なぜ彼を狙う？なにが目的？』

「さすが吸血鬼の子。回復力が異常ね。さっきの傷がもう癒えてる。そうね、私はあなたの能力が欲しい。」

『私の、能力…？』

「その自己治癒能力は魔女にはないもの。吸血鬼の子であるあなただからこそのもの。私はどうしてもそれを手に入れなきゃいけない。」

『 …永遠の命を信じているというの？』

「永遠の命…。」

「そうよ！私はこの世で生き続けなければいけない。その為に、人魚の肉を貪り、妖精だって絶滅の危機に陥れた！でも、その度に感じられたのは命の終わりだけ。このままだとただ寿命を全うしてしまう、そんなの御免よ！」

『馬鹿げてる！そんなことのために罪なき命を…！！』

「お前だったのか…、」

『ジョンデ…？』

ただならない魔力。

感じられるのは

憤怒や憎悪。

彼は怒っている。

人魚や妖精、その他の生物に対しての

卑劣行為に怒りを抑えきれていない。

彼がこうなった以上、

女の生きる道は絶たれた。

怒って暴走する彼を止められる者は

誰一人としていない。

今の状況からして

恐らく私にはもう手に負えない。

…でも、

「他国の使者に、人魚や妖精がここ最近激減したと聞いた。特に、妖精はもう数えられる程度しかいないそうだ。それは皆、お前の仕業か？セラ。」

「そうだと言えば？」

「お前をしま…、」

『させない。』

彼を止めなきゃ。