城を抜け出そう - 10 ページ17
「 A? 」
『 彼女は恐らく、東のイサムの森の魔女。あの森に住む魔女は目に入った生物を滅する極悪の種族。 』
「 あら、博識ね。その通りよ。私はイサムの森からはるばる、ここEXO王国まで来た。その理由はさっきも言ったけど、あなたの能力を聞きつけて。手に入れるためなら、手段は選ばない。ここへ来る途中も、たくさんの命を奪った。その分、私は長く生きられる。 」
イサムの森の魔女は
ずっと勘違いをして来た。
命を奪えばその分
寿命が伸びるわけではない。
「 …なんの罪のない命を、彼らはもっと生きなければならなかったのに…、お前なんかが奪っていい命じゃなかった!! 」
怒りで暴れ狂いそうなジョンデ。
こんな奴のために
彼の手を汚すわけにはいかない。
『 ジョンデ様、お控えください。彼女の始末は、私が致しましょう。 』
無かったことにするんだ。
何も。
「 いや、俺が…、 」
『 …貴方はここでの出来事も、私の存在もなにも知らなかったのです。 』
彼女のことも、
…私のことも。
最初から
彼とは無関係。
そうすれば騒ぎを起こしても
責任は王家には行かない。
私だけの問題。
これは私が引き起こした出来事。
巻き込めない。
「 何言って…? 」
『 言ったでしょう、もう城の人間ではないのです。私は1民として彼女がこの国に相応しくない、そう思ったがために彼女を始末するのです。貴方は、何も知らないのです。 』
「 そう簡単に私を殺せるかしら? 」
とりあえず、あの女を消そう。
彼女に向けて手をかざす。
『 愚か者が。その余裕、挑発とみた。一瞬で楽にしてやる。 』
誰にも見せたことのない力。
私は吸血をしない代わりに
魔力を奪う。
魔力を持つものは
魔力がゼロになった時
力尽きる。
すなわち、死だ。
「 魔力吸収ね…ほんとにあるのね、余計に欲しくなっちゃう。 」
「 A…! 」
『 その名前、お忘れください。私はもう、っ!、 』
最後に見たのは
「 …何も無かった。俺もお前も。ただ、散歩に街へ降りた、それだけだよ。 」
銀色の鱗をまとった
ジョンデの姿だった。
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作者名:*** | 作成日時:2018年2月13日 0時