つづきはまた明日。

１０.Ｋｉ ページ10

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軽く台本に目を通して、鞄にしまう。
丁度震えるスマホを手に取り、マネからのメッセージを確認する。
今まさに、迎えに来たという知らせ。
手際よく了解とだけ打ち込んでメッセージを送り返す。
必要なものを掴みながら玄関へと向かい、無造作に置かれたスニーカーに足を突っ込んだ。


マ「おはようございます、北山さん。」


「…はよ。」


慣れたマイクロバスに乗り込み、後部座席に座る藤ヶ谷に視線を送る。


「…おっす。」


Ｆ「ん。」


軽く挨拶だけ交わして、スッと落ちていく視線。
どうやら今日もお気に入りの小説本を熟読中らしい。


(…車で本って…、)


…絶対酔う。
千賀なんてものの数秒でアウトだろう。


思いながら、空いたスペースにドカッと腰を落として、すかさず寝る体勢に入る。
寝落ちる寸前で、慣れたようにマネが今日のスケジュールを確認する。


マ「今日は新ドラマの顔合わせ、本読みの後、そのまま二人でラジオなんでよろしくお願いします。」


ラジオ…？


「あれ、そうだっけ？」


マ「はい、あれ…僕言い忘れてました？」


……ラジオは初耳だ。
けど、後ろから了解って聞こえてくるから、藤ヶ谷は知ってておれだけ知らないって言う…


何て凡ミスだよ、マネージャー…。


確かに今日は何の予定もねぇけど。
本読みして、ウチで役固めようとか思ってたけど。


マ「…北山さん…、」


「ん、大丈夫。ラジオね。」


まぁ、藤ヶ谷となら特に気にすることもない。
昔から何となく、そうゆうのは臨機応変に対応できるらしい二人みたいだから。


まるで他人事のようにそう思いながら、落ち込みかけたマネになるべく優しく了承する。


しかしながらこのタイミングで藤ヶ谷とラジオ。
どこか計ったようなスケジュールに、実はマネは結構やり手なんじゃないかと悟る。


「…今日のラジオの台本って今ある？」


少しだけ身体を起こして、前のめりにマネに尋ねたところで背後からスッと手渡されるそれに、凝視する。


「……なんで藤ヶ谷が持ってて、おれがないのよ。」


渡された台本を手元に置きながら、バックミラー越しに目があったマネを睨み付ける。
さすがにこれは…凡ミスじゃなく、ミスだ。


慌てふためくマネをジッと見つめ、言い訳のひとつでも聞いてやろうとしたら、いつの間にかおれの隣に座り込む藤ヶ谷にギョッとする。


「…っ、なに…、」


Ｆ「…MCおれがやるし。」


「あ、そう。」


…藤ヶ谷がそう言うなら別に。

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