つづきはまた明日。

５.Ｋｉ ページ5

いつ見ても誰が見ても飽きるくらいにニコニコ…
尊敬するほどに崩さない笑顔に、げんなりする。
慰めるようにおれの肩をポンっと叩いてどこか楽しそうにおれの前を歩いていく二階堂の言葉が、永遠とおれの頭で木霊していた。


２『みつとがや、おんなじ仕事なんて、千賀の好物に決まってんじゃん(笑)』


藤ヶ谷のそばに張り付いて離れない千賀に、他人事とも思えず一緒に歩く二人の隙間に、ヌッと腕を差し出してその肩を掴んだ。


「…千賀、もうその辺にしない？」


真横からぢりぢりと感じる不機嫌オーラを浴びながら、千賀を必死に留める。
そんなおれを瞳に映して、パァと晴れやかな表情を浮かべた瞬間、今更ながら後悔する。


これは確実に…


Ｓ「ひろみつ〜♡お疲れ様！いや〜調子はどう？！(笑)」


捕獲されてしまった案件だ…。
伸ばした腕にガッチリと千賀の腕に絡めとられてしまう。


Ｆ「なに、余計に煽ってんの…、」


呆れたように呟く藤ヶ谷の声が、おれの耳に届く。
その藤ヶ谷の声に、反論する間もなく千賀が前のめりに続ける。


Ｓ「ドラマ楽しみだな〜…二人してどんな役作りしてんのか気になるな〜…」


独り言のように言いながら、明らかに目線はおれと藤ヶ谷を行き来する。
千賀のこれ見よがしな仕草に、お手上げ状態。


「……さぁ〜、どうだろうなぁ、」


言いながら、無理くりその絡まった腕をどうにか抜き取る。
やっと開放された腕をさすりながら、千賀の不気味な笑顔を見つめる。
キョロッとおれと藤ヶ谷を見比べて、


Ｓ「まぁ、がやさんと宏光なら阿吽の呼吸で大ヒットドラマにしそうだよね？(笑)」


にこにこと純粋無垢な笑顔でそんなことを口走る。


なんちゅうハードルを上げてくれてんだ…。


思うことは同じ…なようで、タイミングよくばっちり藤ヶ谷とかち合う視線に驚き、二人して一緒にスッと外していく。
そんな些細な出来事さえ、千賀の目には異様に映るらしい。


Ｓ「なにそれ！！凄いアイコンタクトだね！(笑)ラブシーンが楽しみだなぁ…♡」


…つーか、たまも千賀もなんでそこばかりピックアップしてくるんだ…。
もっと他にさぁ…！


千賀の鬱陶しいくらいの熱視線に耐えながら、無意識に引きつる笑顔。
立ち往生したまま動かないおれたちに、助け船がやってくる。


Ｙ「はい、そこまで。」


横尾さんにグイグイ押されて進む足。
すれ違い様に言われた言葉に驚愕する。


Ｆ「ちょっと付き合って。」


…怖いんですけど。

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