安心 ページ9
『……ありがとうございます』
「え?」
『え?』
「僕何か言ったかい?」
『えっ?あっ…いや私の聞き間違い…?』
「なんだ?なんて聞こえたんだ?」
『べ、別に何も聞こえてないです!ほらデッサン続けましょ』
Aは顔を赤くし焦りながら場を取り繕うようにデッサンを続けた
何時間かして外も暗くなり仗助と億泰、康一が帰った
『露伴先生、帰るのこれ描ききってからでも良いですか?』
Aは筆を止めず露伴に問う
「あぁ構わないよ
ったく…あいつら片付けて帰れよ」
2人だけの空間に胸を高鳴らせる露伴
そんな露伴にAが話しかける
『露伴先生』
「なんだい?」
『ちょっと…変な話しても良いですか?』
「あぁいいとも」
いつもよりも落ち着いた声で話すA
『私、初めて露伴先生に会った時の記憶が曖昧なんです。私が露伴先生に自己紹介したところから記憶がなくて』
それは露伴が会ってまもないAにヘブンズ・ドアで心を読んだからだ
あれ以来露伴は少し反省していた
「…それで?」
『私あの時こけたのか分からないんですけど道端に倒れちゃって立ち上がった時、なんだか不思議な気持ちになったんです
今までの苦しみっていうか昔できた傷みたいなのが全部なくなった気がしたんです
なんでか分からないんですけど、私それが露伴先生のおかげな気がするの』
筆を止め顔をあげたAと目が合う
『露伴先生が隣にいると心から安心するんです
だから────』
続きの言葉を言いかけた時Aの電話が鳴る
『すみません、ちょっと出てきます』
Aはスマホを持って廊下に出ていった
なんだ…最後の続きがものすごく気になる…
〈露伴先生が隣にいると心から安心するんです〉
その言葉を思い出し静かに口角があがった
Aがかけてきて急いで帰る準備を始める
『すみません露伴先生!母が駅に来てるそうですぐ迎えに行かないと行けないんです!
片付けしていくつもりだったんですけどごめんなさい!絵は持って帰って続きします!』
Aはペコペコ頭を下げた
「良いんだ、早く行ってあげろよ」
『ありがとうございます!お邪魔しました!紅茶ご馳走様でした!
さようなら!』
ドアに出る前も一礼してAは帰って行った
康一くんですらここまで丁寧に感謝して帰っていかなかった
露伴はAを送っていけば良かったと後悔した
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯貝に食べられそうな金魚(プロフ) - 薬…あれ……?はっ…まさか…! (2023年4月19日 20時) (レス) @page19 id: 28e7d0c472 (このIDを非表示/違反報告)
名無し83708号(プロフ) - りんご酢さん» ありがとうございます!! (2022年3月29日 21時) (レス) @page9 id: 40d30d1a25 (このIDを非表示/違反報告)
りんご酢(プロフ) - めっちゃ好きです〜! (2022年3月29日 20時) (レス) @page24 id: de690abae4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遊子 | 作成日時:2022年3月22日 3時