声優オタクの声優さん ぱーと7

パパ ページ21

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翌日。事務所には何も言わず2人で病院に行った。

待合室には私たちのように夫婦で座っている人、親子、妊婦さん………。

色々な人がたくさんいた。



私は検査や診察を受けたことがあるから初めてではないけど、きーくんはもちろん初めて。

どうにも落ち着かないらしくソワソワしている。
だってずっと私の服を掴んでいるし。

小さな子どもかよとツッコミたくなるけど仕方ない。
男兄弟だからこういう耐性無いだろうしね。




「………なんか俺肩身狭いんだけど」


「あそこにも男の人いるよ？大丈夫大丈夫！」


「いやあの人はちゃんとお父さんって感じすんじゃん！？」


「別にやましい事したわけじゃないし、きーくんもちゃんとパパになるかもなんだから堂々としてていいの！」


「うさぎさんの俺は堂々としてらんないんだけど……」


「じゃあこれから慣れようね」


「……がんばる」




一体いくつなんだろう。お腹にいるであろうこの子よりも子どもなんじゃ………と不安になったけどやる時はやる男だからきっと大丈夫。




「問診だけじゃないから呼ばれるまで待合室にいてね？」


「まあーそうだよね。とりあえず端っこで待ってる」


「そんなに時間はかからないと思うけどね」




そんな会話をしていると「谷山さーん」と呼ばれた。
未だに慣れないな谷山さん呼び。

「じゃあ行ってくるね」と声をかけて診察に向かった。




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Aが診察に向かって数分。
普通の病院じゃないから肩身が狭い。
似たような立場の男性もいるけど、自分がこの立場になると思ってなかったせいで場違い感が半端じゃない。

早く呼ばれねぇかなと暇を持て余していたら、席を探す妊婦さん。


…………俺別に座ってる意味ないな。


柄じゃないけど無視するのも虫の居所が悪いしと声をかけた。

申し訳なさそうに、でも少しホッとしたような表情を浮かべて椅子に座る姿を見届け壁に寄りかかる。


愛おしそうにお腹を撫でる様子がなんとなくAと被って胸が熱くなった。

気が早すぎるけど早く産まれてほしい。
でもこうやってソワソワしてる時間もまたいいかもしれない。



そんなことを考えながらカバンから本を取り出してページをめくる。

こんなところでiPadを使うのも気が引けたし予め用意してた。



不安もあるけれど楽しみも増えたしもっと優しくなろう。
なんたって俺はパパになるんだから。




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