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03. ページ7

次の日の朝、教室に入ると珍しくもう涼太が来てい

た。いつもギリギリに滑り込んで入って来るのに。


「涼太、おはよう。」


隣の席にカバンを置きながらあいさつをする。


「…A、ちょっと今いいっスか?」


私のあいさつを聞き流し、貼り付けたみたいは無機質な

笑顔でそう聞かれる。


「…? いいよ。」


立ち上がった涼太に手を引かれ、教室を出た。

どうしたんだろう。…だけど、私もちゃんと話をす

するチャンスかも。


そのまま屋上のドアの前まで来て、立ち止まる。

ようやく掴まれていた手が解放される。



「昨日、マジバで高尾っちと何してたんスか?」


涼太はこちらに背を向けたまま話し出す。

表情が読めない。昨日、見られてたんだ。


「寄り道したら偶然会って、ちょっと話してただけ

だよ」


「ちょっと話してただけ…?ホントに?

俺の前であんなふうに笑った事無い癖に。」


もしかして、浮気してるって思われてる……?


「ちがうよ、涼太。ほんとに喋ったの昨日がはじめ

てで、偶然っ、いたっ……」



振り返った涼太にガシリと両手で肩を掴まれる。

目の前に迫ってきた怖いくらい綺麗な顔にぞくり

と背筋が粟立つ。


「なんで?なんで隠れて他の男と会ったりするんスか?

Aには俺がいるでしょ?


俺以外の男と、喋るな。


俺以外の男に、笑いかけるな。」



聞いたことの無い様なトーンで話す涼太が怖くて、

視界が涙でぼやける。


「…わかった?」


震えながら頷くと、表情が一転していつものキラキ

ラした笑顔に戻る。肩を掴んでいた手も離れる。


「わかってくれて良かったっス!

わ、泣かないで。怖かった?ごめんね…でも、

泣いてるAもかわいい。


愛してる。」



甘い声でそう言いながら何度か頰や唇に口づけをされる。

「じゃ、教室先戻ってるっス!」


左耳のピアスを何度か触ってから上機嫌で走って

いく彼が見えなくなって、私は膝から崩れ落ちた。


「私は…涼太の…何?」


恋人のはずだった。

お互いに好きで幸せな時間を共有していたはずだっ

た。


もう、今の涼太にとって私はペットのようなもので

しか無いのかも知れない。


自分だけの言うことを聞いて、自分だけに愛を

示してくれる愛玩動物。


私の左耳についているピアスは、まるで私を拘束す

る首輪みたいだ。



______どこで、おかしくなってしまったんだろう。


そっと自分の左耳に触れながら窓の外、

青い空へ目をやる。

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設定タグ:黄瀬涼太 , 高尾和成 , 黒バス   
作品ジャンル:アニメ
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ろちこ(プロフ) - ゲス黄瀬の匂いに釣られてコメント失礼致します!これからもこっそりひっそり、楽しみにしておりますので些細な応援ですが、執筆の糧になれればと思います。頑張ってください! (2017年8月11日 18時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おれお | 作成日時:2017年8月9日 23時

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