黄瀬涼太は好きな子にアタックできません8

370話 ページ28

「め、目の前にAがいる〜〜〜！！！」


教室に入り、ホームルームが始まるまでの間の少しざわざわした新しい教室内

目の前で涙ぐんでいるのは去年離れ離れだったリナ


白河、新庄、だから前後なわけで

私は椅子を逆に座ってリナの方を向いていた

「先生へ私たちの想いが伝わったか…っっ！！」

私もふざけてリナと愛を確かめ合っていたら、リナの座っている席の通路挟んだ隣の黄瀬くんがこっちを向いた

「いや、最高すぎッスよ。何このメンツ」

黄瀬くんも嬉しそうにしている

元々4クラスしかないから、クラスがダブる可能性は低くなかったんだけど

こうやってみんなでダブるとすっごい嬉しいよね


「いやマジでそれな！！！」

私たちの賑やかな声を嗅ぎつけて後ろを向いた黄瀬くんの前の席の男の子。

彼は一年生の時黄瀬くんと同じクラスだった尾川和樹くん

3人のうちの1人…って認識だったけど、実は彼もバスケ部で…
高校二年生の時に2軍から1軍に上がってきた実力者だ


リナは何となくだけ知り合いって感じだと思うけど…

私はもう練習もかなり長く一緒にやっていて、しっかりと友達になっていた

「この後入学式はだるいよ〜」

そう言いながらリナの前に突っ伏した私を見て、「そういえば、」と尾川くんが何か思い出したように黄瀬くんを見た


「1年、黄瀬の話でもちきりだったぞ」

黄瀬くんはその言葉にまた呆れたような表情をして

「マネージャーのが部員より多くなるとかだったらもはや大喜利ッスよ、、」とため息を吐いた

「大丈夫だろ、白河マネももう海常にいる人なら名前だけみんな知ってるし、」

「白河から黄瀬を奪えるようなやつ、いねぇよな？」と私の方を見てニヤニヤする尾川くん

「一年半以上付き合ってて今更乗り換えられたら、そんな男捨てます〜」

私が強気にほっぺを膨らましながら言い返すと、黄瀬くんが「Aメンタル強すぎッスよ笑笑」と笑ってくれた


去年、私はA組で黄瀬くんはD組だった

そこまで離れてるとトイレの場所も違うからあんまり学校で会うことなくて…

まあ、私たちのこのサバサバな性格から見て取れるようにご飯一緒に食べることも少なかったし

急接近した日常生活に心臓が持ちそうにないです

黄瀬くんが後ろにいる、同じクラスにいる、

なんだかんだ授業中の黄瀬くんはあんまり見たことないし…、黄瀬くんがとったノートとかもそんなに見たことない


キラキラした青春が始まった…ような気がした

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