黄瀬涼太は好きな子にアタックできません8

363話 ページ20

リナside




高尾くんの突然のおうちデートのお誘い。

秀徳の文化祭はどうやら14：30で終わりらしくて、どんなに遅くても15時までには校舎を出れると言われた。


一緒に帰ろうなんておこがましいと思ってずっと言えなかった…のに、まさかのうち来る？なんて


ずっと心臓がうるさくて、目の前のものが全て新鮮に見える

高尾くんが誘ってくれた時、高尾くんの目は花火大会の時の少し男っぽい目をしていて

そのままの勢いで唇を合わせたいと思ってしまうほどにドキドキした。

制服を借りていたせいだろうか

全てが特別で、帰りたくないとも思った


秀徳祭は無事おわり、私は高尾くんを待つために近くのカフェで1人フラペチーノを飲んでいる


スマホを手に取り、指を滑らせて、さっきの制服の高尾くんとのツーショットを見る


…同じ学校だったら、こんなだったのかな


少し心が痛いけど、…でも同じ学校だったら付き合ってなかったかもしれない

そう思うことにした。

制服はシフトの時間だけですぐ貸してくれた子に返して、お礼に持っていたクッキーをあげてきた

高尾くんって、クラスでもみんなの中心にいるタイプなんだなぁとぼんやりと考えていたら


後ろから私を呼ぶ声がして


「お待たせ」


後ろを向くと私の大好きな人



息を切らして、ワイシャツを扇いでいるところを見る限り走ってきたのだろう


その事実に少し笑みが溢れて、「お疲れさま」とつぶやいた


高尾くんはいつも緑間くんとチャリアカーでジャンケンに負けた方が相手を送るという馬鹿らしいことをしているらしいんだけど

今日は緑間くんにお願いして、歩いて帰ることにしてくれたんだって

私はまだ残ってるフラペチーノを手に席をたった


少し羨ましそうな目でみる高尾くんに、フラペチーノを傾けて、飲む？と聞くと嬉しそうにストローを咥える高尾くん


あ、…だめだ、なんか今日めちゃくちゃ意識しちゃう


高尾くんの唇がストローから離れるのを見て顔が赤くなって

キスしたいと思ってしまった自分を振り払うように頭を振った


「おいしい」

「よかった」


2人で歩く高尾くんの通学路


高尾くんのおうちはこっから電車で15分くらいなんだって

一緒に帰るだけじゃ時間が足りないから誘ったんだよ〜ってナチュラルに口に出してきて

すごく恥ずかしくなった


そうしてたどり着いた高尾くんのおうち。

高尾くんが鍵を開けるのを見ながら深呼吸をした

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