681話 ページ40
『ワァァァァァァァ!!!!!!!』
足をついた瞬間、今までのものが全てのしかかったようにかくんと膝から崩れ落ち
俺の足はもう痛みすら感じないほどにおかしい状況だったのだ自覚した
俺の元へ走ってきた尾川が俺に抱きつくと同時に勢いよく大きなクラッカーが鳴り
何も聞こえなくなるほどの歓声が上がる
顔を上げれば目の前にはチームのみんなが集まっていて、その表情には涙が浮かんでいた
「…キャプテンっ!!!キャプテン!!!」
「…、うぁぁぁあんっ、」
声をあげて泣いている彼らを見て、勝ったんだという熱い感情が沸々と湧いてくる
ふと頬に涙の感触を感じて手を触れると
俺も滝のような涙を流していた
すでに汗でぐっしょりのユニフォームで涙を拭き
1人では立ち上がることのできない体を仲間に助けてもらいながらゆっくりと立ち上がる
さっきまで小さく感じていたコートはとても大きく
俺たちはここで戦ったのか、と心が熱くなった
会場を見渡して声援を浴びて幸せに浸っていると
チームメイトが皆違う方向を向いていることに気がついて
俺は静かに視線を向ける
広い広いコートの中に立っていても、やっぱり誰よりも一番に見つけやすい女神様
誰よりもぐっちゃぐちゃに泣き崩れた愛する彼女の姿に思わず鼻で笑って
「あっ、ちょ、黄瀬!!!!」
俺はさっきまで崩れていたはずの足のことなんて忘れて、借りていたメンバーの肩を振りほどいて一目さんに彼女の元へかけていった
「…ぅぁ、ぁぁん、ぎぜぐぅぅん、」
走っている俺を見てだんだんと足を早める彼女に愛おしくなったと同時に
やはり無理をしていた俺の足は力が入らずかくんと抜けていく
そんな姿に気がついてさらに足を早めた彼女に抱きつくように
俺は彼女に腕を回しながらもう一度崩れ落ちた
「…っぐずっ、、ぐず、…おめでと、おめでとう、」
膝立ちになった俺と抱き合った彼女は
ずっとおめでとうと繰り返したまま汗だくの俺の頭をワシワシしながら泣いていて
そんな姿にさらに愛おしくなって、俺は腕の力を強める
この場がどんな所で、誰に見られているか、なんてどうでもよかった
ただこの小さな体でチームのために貢献した彼女も
メンバーの1人だと会場のみんなに伝えたかった
ピ----ッ!!
誰かがふざけて吹いた口笛がやまびこのように会場に広がっていき
そんな音を聞きながら、彼女が俺の耳元で小さく笑った
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作者名:りん | 作成日時:2021年3月19日 10時