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636話 ページ45

撮影を終えて電車で移動し、この後もまだみんなが続けている部活へと向かう

撮影からの部活は何かと不便なことが多いけど
やっぱりこれも自分の仕事と部活の両立のためだ、とあきらめている

「…。」


改札を出ると、神奈川はまるでバケツをひっくり返したような大雨で

俺は心の中で「傘持ってねぇよ」と1人つぶやいた

あたりを見回すと、カバンで雨除けをしながら走り抜ける人や
傘をさしつつ前髪を一生気にしているOLなどが目に入って余計に嫌気がさす

やむまでまつか、と言いたいところだが部活があるのでそんなことは言ってられない

俺は考えるよりも先に雨の中に飛び出していた

バシャンバシャンと足元で鳴る水の音も何故か心地よくて

俺は思わず口角を上げながら走っていた

2年前にも同じようなことがあった気がする

あの時は恋愛一直線で、愛とバスケが全てで

Aのために涙を流しながらこの道を走ったっけ

気がつけばあの時から2年の時が経過していて、俺も色んな意味で大人になったと感じる

Aは変わらず
今日の俺を見ても「雨の中走ってきたの?」と笑ってくれるだろうか

こうやって部活に走るのだって今日を含めてもうあと2日しかなくて

俺は、考えないようにしていた引退は思ったよりも早くきてしまいそうだと悟った


俺は…、キャプテンとして貢献できただろうか

今思い返しても笠松先輩は俺が入った時にキャプテンになったとは思えないほどに大きな器だったし

あの人は本当に俺にとって一生感謝しても仕切れないくらい尊敬している人だ

そんな笠松先輩と比べちゃいけないのかもしれないけれど
今の後輩に、俺はどんな風に映っているんだろう

悩みだすとキリがない、とわかっているのに
頭の中で止まらない不安にまた掻き立てられる感覚に駆られる


ふとだんだんと弱くなってきた雨に気がついて顔をあげると
空はだんだんと明るくなっていて
そんな空の色に思わず俺は笑みをこぼす

少し顔を出しそうな太陽に負けないように
俺は濡れた地面を強く蹴った

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:りん | 作成日時:2021年2月25日 10時

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