588話 ページ46
Aside
黄瀬くん
お元気ですか
君がいなくなって、5日が経ちました
まだ5回しか寝てないというのが嘘なくらい、黄瀬くんがいなくなってからすごく時間が経過したような気がしてます
君のいない教室はどこか寂しくて、でも当たり前に過ぎていく日々がわたしにはとても辛いです
アメリカがどんな天気か知らないけれど、まだまだ日本は暑くて毎日溶けてしまいそうです
ふと空を見上げれば黄瀬くんの顔が浮かんで
あの日の喧嘩がもう1ヶ月前のように感じて
授業中の先生の声が頭の中で遠のいていくのを感じながら私は机に突っ伏した
黄瀬くんと連絡を取らないってだけでこんなに心に隙間ができて
それを埋めることができるのも黄瀬くんだけなんだなって実感したよ
「…おーい、白河、授業終わったぞ」
隣の席の男子に話しかけられるまで、どこか遠いところに意識を飛ばしていたような気がする
寝ていた、とは少し違うような、そんな感じ
その声にふと背中を起こすと、日光を浴びて背中がぽかぽかになっていて
長いこと突っ伏していたのだと実感した
「…ん、ごめ、」
咄嗟に出た声が完全に寝起きの声で
授業中に寝るなんて久々だったから、自分が今どこにいるのかを理解するのに時間がかかった
「次体育だぞ?遅れんなよ」
そうつぶやいて鞄を持って更衣室に移動する隣の男子の声を聞きながらまた意識が遠のいていくような気がして
私は必死に目を擦り上げた
「A〜〜〜、更衣室行くよー…
って、、!!」
「起きて!起きろ!コラ!」
リナの声が私の意識を呼び戻してくれて、私はハッと目を見開く
そんな姿に、リナは「授業中寝るなんて珍しいじゃん、」と心配そうな声をあげた
起き上がらないと、また意識が遠のくような気がした私は机の横にかけてあった体操着袋を手に取り
ガタッと音を立てて立ち上がった
「よし、…行こう、体育、」
もやもやした頭でも一応時間が危ないことは気がついていて
私の呟きを聞いたリナは、私の手首を掴んで上に持ち上げて「おー!」と声をあげた
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作者名:りん | 作成日時:2021年1月28日 16時