577話 ページ35
『通話中のため応答できません』
たったそれだけの文面が俺のスマホに表示されて
俺は耳元に添えていたスマホを腕ごとずるりと振り落とした
俺たちのトークは『また学校でね』『うん!』といつも通りの明るい会話で終わっていて
そんな俺たちに一体何が起こってしまったのかと胸が締め付けられるのを感じた
とりあえず親に早く行かなきゃ行けなくなったことを伝えて、俺はそのまま親に手伝ってもらって準備を早めに終わらせた
準備が終わって火神っちに電話をすると、彼はすでに空港でチケットの手続きをしている最中で
俺はそんな彼を追いかけるように家に呼んでいたタクシーに乗り込んだ
「気をつけるんだよ」
比較的姉貴たちも色々と飛び回っているおかげで親も過保護ではなく、俺をあっさりと送り出してくれて
そんな親に「ありがとう」と挨拶をしてドアを閉めた
完全に静まり返った1時の街を走るタクシーの中で聞こえるのは静かなエンジン音だけで
着くまでに2時間かかるから寝てていいですよという運転手さんに甘えて眠りにつくことにした俺は
眠い目を擦りながら彼女に愛のこもったメッセージを送った
謝りたかったけど謝れなかったこと、文化祭を楽しみにしてたのは俺も同じってこと、そして、なによりも嘘をついたことを謝った
たくさん謝らないといけないけど、でも、本当に好きだから言い出せなかったと書き記した
もちろんそんなメッセージに既読がつくはずもなく
小さくため息をついたと同時に俺は深い眠りについた
空港につくと意外にも人が溢れていて
俺は重い荷物を引きながら火神っちと合流した
すぐにチェックインを済ませて荷物を預けて
少し火神っちと話し込んでいたらすでに4時を回っていた
どうやら5:30のフライトで飛ぶようで、飛ぶまでに彼女と連絡が取れなさそうと察した俺は
小さく唇を噛むことしかできなかった
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作者名:りん | 作成日時:2021年1月28日 16時