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536話 ページ44

夏休みの前はよく4人で固まっていたのに、いつぶりだろうかと考えてしまうほどに久しぶりな4人組


みんなで日が暮れるまでバスケをして、靴を履こうと体育館の大きなドアの前で屈んでいる時のことだった

ふと体育館の入り口に貼ってある美術部が書いた花火大会のポスターが目に止まり、私は静かに靴紐を結ぶ手を止めた

わたしが引き込まれるように眺めていたら、それに気がついたリナが口を開き

「…去年色々あって行けなかったからさ、今年、高尾くんと一緒に行くんだ、花火大会」と、幸せそうにつぶやいた


忘れもしない去年の夏
もう、遠い昔のはずなのにまだこの間のように鮮明に覚えている

リナと2人で買いに行った浴衣

結局あの日、リナと高尾くんはちゃんと夏祭りを楽しめたわけじゃなかったみたい

私が「へぇ、よかったね!」と声を上げながら目を向けてしまうのはやはり今日も変わらず容姿の整った彼で…


靴紐を結ぶ黄瀬くんの背中は私の視線にちっとも気が付かず、私は小さくため息をついて止めていた手を動かし始めた


するとリナが少し大きな声で「Aは行かないの?花火大会」と私に話しかけてきて

靴紐を結び終わった私は立ち上がりながらもう一度黄瀬くんを眺めながら、「…えっと、」とつい声を漏らして…


やっと気がついてくれた黄瀬くんが、「ん?」と眉毛を上げながら優しそうな笑顔で私を見る


どうしてこんなに長く付き合っているのにこんな時も緊張してしまうのだろう

ただ、予定を聞くだけなのに

いつも通り小心者なわたしが見え隠れして、そんなことを考えていたら靴を履き終わった尾川くんが「あー、花火大会か、」と呟きながら立ち上がった


「俺、ばあちゃんち行くから行けねえやー」と寂しそうな声を上げた尾川くんの発言で、ようやくなんの話か理解した様子の黄瀬くんは

少し考えた様子で天井を見つめて、何かを思い出したように私を見る


「俺、その日仕事っスわ〜…」



最後の夏だからと夢を見ている場合ではなかったようだ

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設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
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りん(プロフ) - zhenyangjingkouさん» ドキドキだなんて…嬉しいです( ; ; )温かいお言葉ありがとうございます( ; ; ) (2021年1月25日 18時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» いつもいつもいつもいつもありがとうございます( ; ; )( ; ; )( ; ; )これからも末長くよろしくです (2021年1月25日 18時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
zhenyangjingkou(プロフ) - いつも愉しく作品を読まさせて頂いております。こちらの作品は面白く、ドキドキするところが多いのでいつも読んでいます。これからも頑張ってください!! (2021年1月24日 10時) (レス) id: 6cb8df7d81 (このIDを非表示/違反報告)
M - 更新再開、嬉しいです!まだ読み続けてますからね!頑張ってください! (2021年1月23日 19時) (レス) id: 7323c34b15 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ゆまさん» わぁぁ嬉しいです( ; ; )最近忙しくてゴミ更新だったんですけど、今日からまた爆速になるのでご安心くださいっっ!!!! (2021年1月21日 11時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年12月17日 7時

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