449話 ページ8
「…あれ、あかりついてない」
体育館に入るとさっきまでの熱気がまだ立ち込めていて、自然と風呂上がりのTシャツが体に張り付く感覚がした
「まだ来てないんですか?
んー、遅れてくるんじゃないですかね」
そう言いながら後輩は体育館のライトをパチっとつけて
それと同時に体育館が暖かい光で照らされた
約束の時間になっても来ない後輩に不信感を抱きながらもバスケがしたくて、ボールのカゴを出そうと用具室の鍵を開けた
それと同時に体育館の扉が開く音がして
2人で用具室に来てしまったから、体育館にいないと勘違いされてしまうのではないかと
カゴから手を離して体育館へ向かった
用具室と体育館を繋ぐ短い廊下を抜けようとしたところでどすんと誰かにぶつかって
「ぁ、ご、ごめんなさ…」と呟きながら相手の顔をみあげたと同時に
口の中の水分が蒸発していくを感じた
わたしがぶつかったのは先輩たちだった
「あれ、用事あるって…」と言いかけたところでいつもと違う雰囲気の先輩に少し嫌な予感が走る
少し荒い息を吐いた先輩は完全に酔っていて
ニタリと笑みを浮かべながら「あれ、もう1人いるじゃん、ラッキー」と口にした
「……え、?」
動揺しながらも目の前の先輩たちの威圧にジリジリと後ろに下がってしまうわたしの足
「あー、練習????
う、そ、」
そう言い捨てたと同時に私の手がガシッと掴まれて
「いいじゃん、どーせ黄瀬とやってんだし、高校の思い出だと思いなって」
そうつぶやく先輩の力強い腕を振り解くことができなかった
私たちの背中には用具室
逃げて、と後輩に言おうと口を開けたところで、後輩が腕を掴まれて小さな悲鳴を上げた
「離してください」
怖気付いちゃダメだ、
私が鋭い目で睨むと、先輩は「そんな強がったって、力の差なんて歴然なんだから大人しくしてなって」と嘲笑って腕をぐいっと引っ張った
体制を崩して先輩に倒れかかってしまい、風呂上がりの先輩の匂いがふわっと香る
わたしはきっと、この匂いを一生忘れることができないだろうと悟った
「やだ、離して!」
後ろから聞こえた後輩の声に振り返ると、後輩が抱き抱えられて用具室へ連れて行かれるのが見えた
わたしのせいだ
わたしがちゃんと、花火に行くように促していれば。
そんなことを考えていたらわたしの体もふわっと浮いて
あかりがほぼない用具室へと運ばれてしまった
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りん(プロフ) - 湊さん» めちゃくちゃ今更すみません!!このコメント見て調べて声出して笑いました笑笑笑笑ご指摘有難うございます!!書き換えるのしんどいのでこのまま行きます笑本当に有難うございました笑笑 (2021年1月3日 3時) (レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - インターハイ編って黄瀬達三年生ですよね…?氷室さん一つ年上なので卒業してますよ…? (2020年12月18日 14時) (レス) id: ef148efd04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 11時