471話 ページ30
角を曲がるとすぐに目に入った小柄な体
「リナ！！」
少し早歩きしたせいで息が上がっていて
俺は椅子にかけていたリナの前で少し息を整えた
「ごめんね、試合前の大事な時間に…」
あー、この空気だ
この何も気を遣わなくていいこの感じ
居心地がとても良くて、ストレスが消えていくのを感じる
「ううん、大丈夫。でも10分くらいな」
俺は優しく呟きながらリナの隣に腰かけ、少し談笑を楽しんだ
一通りいろいろ話終わった時のことだった
リナは手にペットボトルを握っていて
「あー…のさ、」と呟きながらそのペットボトルを握る手に力を入れたのが見えて
俺は思わず「ん、お疲れ様」と目を合わせずにつぶやいた
「人生でこんなに悔しいの初めてで、やっても無理な時もあるんだなぁって思っちゃった」
ごめんね、ずっと努力してる人にこんな…とすぐに謝るリナの声がいつもより悲しげなところから
本当に悔しいんだなと悟った
「赤司くん、だっけ、」
突然彼女の口から出た名前に少しびっくりしたと同時に「…会ったことないけど…」とリナは続けた
「高尾くんたちなら大丈夫だよ」
その言葉とともにリナが俺の方をまっすぐに見て
いつもなら嬉しいその言葉に少し胸がざわついたことにすぐに気がついた
俺は一瞬黙ってしまったことに気がついて、「あぁ、ありがと」と力ない声で下を向いて
そんな俺を見てさらにリナが俺の傷を抉った
「毎回準決勝とか決勝とかまで進むって、ほんとにすごい」
すごいわけないだろ
どんなに血の滲むような努力をしても、結局天才には勝てない
天才が努力なんてしたら、もっと勝てるわけない。
そんなことわかりきってんだ
緑間がいなけりゃ、俺なんて何も使い物にもならねぇ
それを俺に叩きつけたのが赤司だ
「…俺なんて、ただの凡人で、努力しても真ちゃんにも及ばねぇんだぜ」
俺は気がついたら少し声が震えていて
さっきまでのあの幸せムードがどっかに行ってしまったようにとても激しい動悸に襲われた
「高尾くん、？」
俺のことを心配して顔を覗き込んだリナの表情が、とても俺の心に刺さって
「…ごめん、高尾くん！やなこと言ったよねわたし、ごめん、」
俺の膝に一つ二つとシミができていくのを見て、自分が今涙を流していることを知った
「…っくぅ、…っ、」
拳で荒々しく目を拭って、「ごめん、試合前にこんな…っ情緒不安定で、」と弱々しい声を垂らしたと同時に
10分を知らせる通知でスマホが震えた
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りん(プロフ) - 湊さん» めちゃくちゃ今更すみません！！このコメント見て調べて声出して笑いました笑笑笑笑ご指摘有難うございます！！書き換えるのしんどいのでこのまま行きます笑本当に有難うございました笑笑 (2021年1月3日 3時) (
レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - インターハイ編って黄瀬達三年生ですよね…？氷室さん一つ年上なので卒業してますよ…？ (2020年12月18日 14時) (レス) id: ef148efd04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん | 作成日時：2020年12月6日 11時
