460話 ページ19
「黄瀬君、足は大丈夫？」
わたしが控え室にいる黄瀬くんに声をかけようとしゃがむと、彼は小さく手を振りながら「今日、めっちゃ調子いいッス」と呟いた
彼の顔に笑顔はない
真剣そのものだった
本気で勝ちにきてるんだ
「わかった。体冷やさないようにね」
わたしがパチンと膝を叩きながら立ち上がると、黄瀬くんは小さな声で「…ぜってぇ、かつ、」と声を漏らして
それに気づいたみんなが黄瀬くんの顔を見た
「…やっと、ここまで戻ってきたんスよ、俺ら」
「…陽泉に負けてたまるか！！！」
黄瀬くんは少し下を向きながら地面に声を荒げた
その声に、少しずつ選手たちも顔を合わせて頷く
「最後まで諦めんじゃねーぞ！！」
キャプテンの熱い声に、「オーーーッ！」と大きな声が上がった
ピーーーーーー
「選手はコートに入ってください」
各々腕を伸ばしながらコートへ入っていく背中は、とても逞しいものだった
まるで、笠松先輩たちと重なるようで
昔の桐皇戦での黄瀬くんの言葉がフラッシュバックする
『コートの選手が…誰1人諦めてないのに、…俺だけ諦めるわけにはいかないんスわ』
その時黄瀬くんの目に写っていた笠松先輩の背中
今は黄瀬くんの背中が、誰1人諦めさせない大きな背中へと変わっていた
試合は違和感を感じるほどに順調で
あんなに緊張していて、昨日も勝利を喜ばなかったレベルの選手だったなんて信じられないくらいに
試合は落ち着いていた
もちろん、かつての誠凛との試合のように剣vs剣ってわけじゃないから…かもしれないけど
なんだか、テレビ越しに見ているような
それくらい落ちついている傍観者のわたしがいた
試合は信じられない展開を迎え、陽泉と18点差をつけた
もう、結果は決まったと誰もが確信しただろう
しかしそんな点差の中、誰もが気を抜かない状況で最終Qを迎えた
今日は、紫原くんが髪の毛を結ぶことはなかった
前半の勢いをすっかり無くした陽泉は、熱くなる氷室さんとともに冷めていき
「103対89、海常高校の勝利！！！」
「ワァァァ！！」
あっけなく、準決勝が終わった
目の前に並ぶ陽泉には悔しさで涙を流す選手もいなかった
挨拶や片付けを済ませて、
ドタドタと音を立ててかけていく選手たち
私も控え室に戻ろうと席をたとうとした瞬間
「…っ、ふざっけんじゃねーよっ…」
体育館と控え室を結ぶ暗い廊下から黄瀬くんの声が聞こえた
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りん(プロフ) - 湊さん» めちゃくちゃ今更すみません！！このコメント見て調べて声出して笑いました笑笑笑笑ご指摘有難うございます！！書き換えるのしんどいのでこのまま行きます笑本当に有難うございました笑笑 (2021年1月3日 3時) (
レス) id: 6b9a318112 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - インターハイ編って黄瀬達三年生ですよね…？氷室さん一つ年上なので卒業してますよ…？ (2020年12月18日 14時) (レス) id: ef148efd04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りん | 作成日時：2020年12月6日 11時
