霊力Lv.67 約束の刻 ページ21
楽しい時はあっという間に過ぎ、時刻は夕方18時。
この病棟の面会可能時間は18時までなので、必然的に青峰くんとさつきは帰ることになる。
桃井「…じゃあ、私達帰るね」
青峰「あの世ってのがあんのか分かんねぇけど、元気に暮らせよ?」
ユキ「2人とも…ありがとう!」
そういってユキちゃんは2人にぎゅっと抱きついた。
青峰「ばっやめろっ!暑いだろ…」
とか言いながらも抵抗しないなんて、意外と優しいのね…ツンデレ?
対するさつきは抱きしめ返してるけど。いつの間に仲良くなったのやら。
桃井「元気でね…っ」
ユキ「さつきちゃん泣かないで?私はずっとみんなの心にいるよ!」
A「そうだよさつき!最期は笑顔で送り出してあげないと」
桃井「そっ…うだよね。ごめん……ユキちゃん、
ユキ「…うん、またね!」
2人は少し寂しそうに病室を出て行った。
A「ちゃんと言えて偉いね」
私はユキちゃんの頭を撫でた。こんな小さいのに、ちゃんとお別れできた。
ユキ「うん…でも、本当は私、すっごく寂しいの。ねぇ、Aちゃん」
A「あ…うん、何?」
突然名前を呼ばれたものだからびっくりした。
…ていうか、褒めなきゃよかったかな。傷をえぐるようなこと言っちゃったよね。
本当はお別れなんてしたくないはずなのに。
ユキ「お迎え来るまで、ずっと頭撫でて?」
布団に顔を
きっと泣いているのかな。寂しいんだよね、お別れ。
私も寂しいよ、ユキちゃん。
A「…もちろんだよ。だから、泣かないで?いっぱいお話、しよう?」
ユキ「…うん!」
パッと顔を上げたユキちゃんは、満面の笑みを浮かべていた。
そして、約束の時は静かに訪れた。
病室の時計が19時になったことを伝えた。
さっきまで真っ暗だった空が明るくなり、辺りは
窓が勝手に開き、美しい女性、つまり、女神が入ってきた。
女神「さぁ、行きますよ」
ユキ「…はい。Aちゃん、今までありがとう。すごく、楽しかった!」
A「こちらこそ、ありがとう。じゃあ、元気でね!」
ユキちゃんは女神に連れられて天へと帰っていった。
その光景は、あまりにも美しく、儚いものだった。
最期に見たユキちゃんの笑顔は、ひまわりのように輝いていた。
さようなら。ありがとう。ユキちゃん。
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作者名:きゃらめるりぼんぬ | 作成日時:2018年4月29日 23時