霊力Lv.66 初対面? ページ19
時間はあっという間に進み、気付けば日が落ち始めていた。
その頃、今日のお見舞い担当のさつきと青峰くんがやって来た。
桃井「A、来たよー…その子、誰?」
A「ユキちゃんっていうの。入院してから出来た最初の友達なんだ〜」
チラッとユキちゃんに目をやると、ちょっと緊張した面持ちだった。
青峰「いつ友達になったんだ?」
A「昨日…かな?」
桃井「ふ〜ん…あ、あの、さ。」
さつきは何か口籠ってるようだった。なんとなく、嫌な予感がした。
桃井「その子って、昨日、私達がここに来た時にもいたよね?」
その場の空気が緊張に包まれる感じがした。どう答えたらいいのだろう。
嘘はつきたくないし、ついちゃダメ。でも、本当のことを話して大丈夫なのか…。
ていうか、なんであの場所にいたって分かったんだろう?私、視えること話してないよね?
あ!もしかして、怪我する前の私が言ったのかな?なぜホイホイ言ったんだ私!
…話が逸れた。とりあえず、言おう。
A「…うん、いたよ。隠してごめん。ユキちゃんも、ごめんね」
ユキ「別にいいよ。いつか言わなきゃって思ってたもん」
桃井「言ってくれてありがとう!あ、私は桃井さつき。
こっちの黒いのは青峰大輝っていうの!よろしくね!ほら、挨拶っ」
青峰「…よろしくな」
照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに青峰くんは言った。
A「ちょっと、伝えたいことがあるんだけど…よく聞いてほしい」
私はユキちゃんとアイコンタクトをとり、今日の19時にいなくなってしまうことを伝えた。
2人は一瞬驚いて、さつきは悲しげな顔をした。そして、瞬時に明るい顔に戻った。
忙しいわね、この子の顔。なんてくだらないことを考えてると、
さつきは鞄からラッピング袋を取り出した。
桃井「そうそう!私、クッキー作ってきたの!みんなで食べよ?」
その瞬間、私と青峰君の血の気がサーっと引く音が聞こえた。
2人で顔を合わせ、ニッコリしてこう言った。
青峰「ユキちゃん、だっけ?美味いから、食べなよ」
A「美味しすぎて、倒れちゃうよ(違う意味で)!」
桃井「そんな〜…えへへ」
さつきは照れながら袋を開けた。中には、クッキーとは思えない黒い固体が入っていた。
ユキ「本当に食b…ムググ」
口が開いた瞬間にほぼ無理矢理クッキー(?)を入れた。
ゴクッと飲み込むと、ユキちゃんは倒れた。
ユキ「…おい、しい」
私と青峰くんの笑い声が病室に響いていた。
50人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きゃらめるりぼんぬ | 作成日時:2018年4月29日 23時