【黒バス】探偵少女は真実を守る-episode extra-

▲真実-247-▲ ページ29

毎年の事なんだが、先祖供養は必ず本家にて親族全員で行っていた。


親族全員つったって、孫世代は俺ら二人だけだし親兄弟も二人兄弟、加えてじい様達の兄弟の子孫とは疎遠なので、そこまで大した人数じゃない。


せいぜい七、八人の、こじんまりとした先祖供養だ。


だから先祖供養なんて仰々しい名前のわりには随分とあっさりしてて、供養はその日の午前だけ、午後は自由行動といった感じだった。


…そんで去年の、先祖供養の時の事。


案の定午前のみで終了した先祖供養、俺は少なくとも盆休み期間は親元に居なければならない事にうんざりしつつ、午後はボーッと本家の日本庭園を眺めていた。


本当は征と将棋でもしようかと思ったんだけど、9.9割俺が負けるし、何より肝心の征本人が見当たらなかった。


結局庭園すらも見飽きた俺は、ぶらりと本家の邸内を徘徊し始めたんだが…。


たまたま、本当にたまたま…裏庭にある土地神の社を通り過ぎた時にだ。


俺はとんでもない事を聞いてしまった…――。



どういう意味ですか、伯母様。


どうも何も、そのままの意味よ…征十郎君。


"赤司家の跡取りの座を、緋夢に譲りなさい。"


…嫌です。


何故？


僕は、誰にもこの栄光ある赤司の当主の座を渡すつもりはありません。


緋夢であっても、です。


随分と傲慢なのね。


傲慢なのは貴方だ…。


緋夢は最近よく、僕に対して愚痴を言ってきますよ？


貴方が当主になれなれと煩い、自分はこの家に縛られたくない、ってね。


縛られたくないですって？


それは困るわ…あれだけ叩き込んだのに、まだ足りないなんて。


じゃあもっと縛り付けないと…。


やめてください、緋夢は本家の長男じゃありません。


分家の子供が縛られる必要はありません。


…この家に縛られるのは、いずれ当主になる僕だけだ。


………。


……いけしゃあしゃあと…ポンコツの息子風情が。


父の悪口なら、父に面と向かって言ってください。


うるっさいわねぇ、全く…せっかく気を利かせて、決断の猶予をあげたのに。


本当に邪魔、あんたが生まれてこなきゃ…せめて女なら、私の緋夢が当主になれたのに。


傍観してわざわざ15まで生かしてやったのに。


父親に似て、クソ頑固に育ったもんだ……ねぇ征十郎君。


…何ですか。



私と賭け、しましょうよ？



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