【黒子のバスケ】関わらないでください17【赤司征十郎】

不登校＊850 ページ2

‐富田side‐


「謝るな」

と征十郎様が言うとAさんは頷いた。

「ん。いい子」

と言ってAさんの頭を撫でる征十郎様の顔はそれはもう普段の征十郎様から想像できないほど優しいお顔をされている。

Aさんと出逢ったことは征十郎様にとっては本当によかった事なのだろう。


「それと付いてるよ」

と征十郎様は言いながらAさんの口元に付くご飯粒を取って食べる。


いくら言ってもすぐにいちゃつくお二人。
仲が良いのは大変よろしいのですが、今はあくまでも夕飯のお時間。

Aさんは顔を赤くすると慌て、すぐに大人しくなる。
そんなAさんを見て征十郎様は笑いだした。


征十郎様がこんなに笑うのは久し振りに見る。


「笑わないでくださいよ……っ！」
「ふふっ、ごめ、んっ、ふふっ」

と口元に手を当てながらクスクス笑う征十郎様を口を膨らませて見るAさん。

そんなAさんに、


「そんな顔しても可愛いだけだよ」

と仰って、顔を赤くさせて逸らすAさんの頭を撫でると自分の夕飯を食べた。

征十郎様は食べ終わるとAさんの食べ終わるのを待って、Aさんが食べ終わると早々とお二人で広間を出ていかれた。


「Aちゃんに感謝だな」

と呟く旦那様。


「Aちゃんのもとなら征十郎は笑う。征十郎の笑顔を取り戻してくれたAちゃんには本当に感謝しないとな」


と言って食後のコーヒーをお飲みになる旦那様。

奥様が亡くなられた時、征十郎様に大変厳しくなられた旦那様はもっと素直になればいいと思う。

『お前が心配なんだ』と面と向かって言えばいいのにとよく思う。


ちょっとどこか臆病なところはやはり親子そっくりなんですよね。


「そうですね。やはりAさんは天使ですね」

私達のも、征十郎様のも、心を癒してくれるAさんを嫌いな人間はここには居ない。

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