【黒子のバスケ】もしも、あの日、あの時に......

8.水色の囁き ページ9

水色ひなさんは入学当初から何かと目立つ人だった

まあ、黄瀬や学年一の美少女桃井さんに引けを取らない端正な顔立ち
赤司くんや緑間くんみたいに強豪バスケ部のマネージャーをしているのにも関わらず、成績は常に三位以内
水泳はできないらしいが、大抵のスポーツや陸上競技はできるほど運動神経も良い

これで性格も誰隔てなく平等に優しいもんだから、本当に完璧を絵に描いたような人だった。ある意味、桃井さんとは違った意味で女子の憧れ

だが、水色さんは入学して一週間も経たないうちからクラスで孤立していた。一か月後には学年から孤立していた





「あ、水色さんだ」

「また、バスケ部の主将といるよ」

「この間は赤司くんといたくせにね」


彼女が教室にいるだけで、廊下ですれ違うだけでこそこそと囁かれる噂。それは大きいものから小さいものまでさまざまで全く信用性のないものばかり

水色さんは入部してすぐ、バスケ部のレギュラーの専門マネージャーになった。そんな役割があるのではなく、明らかに他のマネとは異なり、レギュラーの練習や身の回りの雑用をすることが多かったからだ

そのため、それを面白くないと感じた先輩マネが「水色は男好き」だの「色目を使って先輩に取り入った」だの陰口をたたくもんだから、あっという間に噂となり、尾ひれが何十枚もくっついてしまった

普通なら女子の憧れの象徴として見られるはずが、一転して女子みんなの敵と認知されるようになったのだ。まあ、前者もいかがなものかと思うが……



とかいう私も、噂を信じていた人間なのだけど……

今思えば、自分も経験した口なのにどうして信じていたのだろうと自己嫌悪したくなる

9.噂に触れる→←7.お見舞い

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