48.別れ ページ49
あちらこちらですすり泣く声が聞こえる
「Aちん、泣かないんだねえ」
「うん。朝から泣いたので泣けませんでした」
今日は卒業式というだけあって、自分は絶対泣くだろうなあと思っていたのにも関わらず、朝から机上に親からの祝いの手紙が置いてあり、それを読んで泣いた
そのため、肝心の式では泣かないという、むなしい思いを現在進行形でしている
そして、卒業式でも変わらずお菓子を食べる紫原くんに(決して彼が悪いというわけではないが)そのむなしさも増してくる
「そういえば、Aちんはどこ高に行くの？」
「私は神奈川の高校かな。紫原くんは秋田だっけ？」
「そうだよぉ」
黄瀬と離れたかった私は親に自立と称して一人暮らしをしたいと言った。もちろん、それは大学からでもいいのではないかと言われたが譲らなかった
黄瀬は高校はきっとバスケの強豪校へ進むため被らないが、家が隣なら嫌がおうにも鉢合わせする可能性があるため一人暮らしがしたかった。その本音はもちろん伏せて親をなんとか説得した
その結果、関東地方内の高校という縛りの中で一人暮らしをする了承を得た
神奈川なら東京から電車でいける距離だが、まあ、一人暮らしするのに意味があるからいいだろう
「てか、どこってそういう意味じゃねえし」
「え？あ、高校名？」
普通そうだし、といって呆れる紫原くんに少し申し訳なく思う
あはははと笑って誤魔化し、いざ紫原くんに高校名を教えようとしたとき、赤司くんが彼を呼んだ
それにすぐ反応してそっちへ行ってしまった彼に、もうこうして簡単には会えないんだなと今更ながら寂しく思う
ひなでも探そうと人の間を縫って進んでいると、中学三年間で最多数ともいえるほど女子に囲まれた黄瀬を見つけてしまい、慌てて踵を返した
だが、もう彼と合わないんだと思い、そっと目に焼き付ける
青空に映える金色を暫らくは探してしまうだろう
でも、そのうち慣れるだろう
新しいスタートに彼はいないことを私は信じて疑わなかった
実は同じ高校で、また会うことなど
私は知らなかった
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい！！まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか？とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます！ (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです！ (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2018年3月31日 14時
