【黒子のバスケ】もしも、あの日、あの時に......

37.意外も意外 ページ38

そして、三種目目は何故か知らんけどバスケのフリースロー対決だった

いや、なんでフリースロー？ひなが有利じゃん……

そう思ったのは私だけではなく、みんな首を傾げていた。今頃だけど、入学当初の噂でひながバスケ界では天才少女といわれていたことは周知の事実であった

それは工藤さんたちも知っているし、何よりそのことに悪態をついていた工藤さんが提示してきたのだから意外なことこの上なかった

だが、彼女が言うには


「どうせ、そんなものは噂でしょ？たとえ事実だとしても、肩の怪我でバスケをやめたんだったらフリースローなんてできないでしょ？」


まだ勝負をやっていないのに勝ち誇ったようにひなを嘲笑う工藤さんに、私も含めみんなして納得してしまった


「大丈夫かな……」

「心配無用だ。むしろ、最後にこの種目でよかったかもな」


え……、と振り返れば、もうそこにはお馴染みの女バスの子がいて、心底くだらいと言いたげな目で試合を見ていた

一方私は、彼女が言った「この種目でよかった」という言葉に疑問をもった。なんで、良いの？

そう思ったが、それはすぐに知れることとなった






三対一のハンデ。ひなが外すか工藤さんたち三人全員が外すまで永遠に続けると言うフリースローは、結構意外な展開を迎えていた


「はあっ、はあっ……くっ」


どこかで「すごい」と呟く声がした。私も目の前で起きている光景から目が離せずにいた

現在、工藤さんとひなの一騎打ち。疲れからか汗びっしょりで息を乱している工藤さんとは反対に、ひなは汗こそかいているものの息は乱れておらず、未だ安定してボールをゴールへ放っている

ゴールにガコンッという今にも外れそうな音をさせてシュートする工藤さんとは裏腹に、ひなはシュッという外れる気配が一切見えないほど安定したシュートを打ち続けている

こんなに工藤さんがバスケを得意としていたことにも驚きだが、ひなの常人めいた運動センスにみんな何も言えなくなっていた

そして、工藤さんが外してスポーツ対決もひなの圧勝という形で終わった

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