32.私のため……? ページ33
クラスだけでなく、廊下にいる人の注目も集めてしまっている二人と、たぶん私……
居心地の悪さに極力小さくなるように努めていると、廊下の端に赤司くんと黄瀬が見えた
人の多さで二人がどんな表情でいるのかわからないが、きっと水色さんを心配しているのだろうと思い、水色さんに教えようとした
だが、それよりも早く紫原くんに止められる。振り返れば、しぃーっと人差し指を立てられた
教えなくていいってこと……?
内心首を傾げながら、気づかない二人に目を戻す
「バラされたくないってなんのこと?」
「あら、別にいいのよ?話しても」
「話したところで、あんたの言葉なんてし」
「残念だけど、これなーんだ」
水色さんの手にあるのは工藤さんがよく身に着けている桜のピンだった
「Aちんが帰った後にひなちんが見つけたんだよ」
「あ、そうなんだ」
あんなのどこで?と思っていたのが顔に出ていたらしい。紫原くんがこっそり教えてくれた
ピンを見た瞬間、あからさまに顔を顰めた工藤さんは忌々しそうに舌打ちをした
「勝負方法は?」
逃げれないと悟ったのだろう。工藤さんがそう聞くと、水色さんは不敵な笑みを浮かべた
「勝負方法は簡単。あなたとその友達二人、つまり三人のうち誰か一人でも私に勝てばあなたたちの勝ち」
「勉強も?」
「ええ。勉強は五教科のうち一教科でも私の点数を上回ればあなたたちの勝ち。スポーツはそちらが提示した三種目の内容で一人でも勝てば。どう?簡単でしょ?」
圧倒的に水色さんが不利な勝負方法に、不安になる。だが、紫原くんは暢気にお菓子を食べているし、赤司くんや黄瀬も止めに来ないってことは大丈夫なのだろうか?
おろおろと二人を交互に見ていると、工藤さんが話を促す
「そんな不利な条件であなた勝てるのかしら?」
「あら、こうでもしなきゃ余裕すぎて話にならないからの条件よ」
「ちっ、そこまでして何がしたいわけ?」
心底気に入らなそうに水色さんを睨む工藤さん
水色さんはそんな工藤さんの様子も気に留めず、ちらりと私を見た。え、私……?
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時