24.虚勢 ページ25
少しだけやせた肩や頬付き
うっすらと目元にできた隈
何より、教室にいるときの彼女は黄瀬や紫原くんと話しているのにも関わらず寂しげだった
なんで見なかったんだろう?見てなかった?いや、見てた
気でいてた。確かにわかってたんだ
でも、見て見ぬふりをしていた。あそこにいるのが自分じゃなくてよかったと安心していた
じわりじわりと視界がぼやけ始めたので、慌てて側に置いていたタオルで顔を隠す
紫原くんは相変わらずぽんぽんと頭を撫でてくれる
「大丈夫、大丈夫だから」
何が、なんて聞かなくてもわかる
弱い自分が嫌だ?なぜ、水色さんみたいになれない?
そんなことばかり思うだけで行動していないからだ。彼女と私に違いなんてない
彼女だって辛いのだ。怖いのだ
あの針を刺すような女子の目が、言葉が……
「紫原、そろそろ再開するぞ」
段々と近づいてくる声に赤司くんだとわかる。「はぁい」と間延びした声で返事をする紫原くん
やっと落ち着いたので顔をあげると、てっきり赤司くんの隣にいるのだと思っていた水色さんの姿が見えない
どくん、と心臓が嫌な音をたてる。そんな私の心情に気づいたのか紫原くんが代わりに赤司くんに問うた
「ひなちんは?」
「ひななら教室に前回の練習試合の記録を教室に忘れたとかで、教室へいったぞ」
それがどうかしたのか、と赤司くんが言い終える前に私は体育館を飛び出した。後ろで誰かが呼びとめる声が聞こえたけど、それどころじゃなかった
いつ、何をするかなんて聞いてない
だけど、桃井さんも赤司くんも先輩方もいない。彼女が一人という絶好のチャンスを彼女たちが見逃すはずがない
お願いだから、何も起きないでっ
そう心の中で叫びながら私は廊下を全速力で走った
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時