21.彼女のように ページ22
結局、あのあと紫原くんに言われたことを聞くタイミングもなく、授業に臨むことになった
全ての授業を終え、私は掃除がないので部活へ向かおうとしたら、工藤さんたちの話声が耳に入ってきた
「だから、あいつを」
声のトーンは落とされているため、周りには彼女たちの話の内容は聞こえていないが、如何せん私の席は彼女の席の後ろなので、ほとんど丸聞こえである
あいつって……水色さん?
そんなに敵視する必要があるのだろうか。まあ、そうは思っても口には出しませんけどね。表情にも出さないように気を付ける
巻き込まれたくない……。我ながら、自分のことしか考えていないなあと自分に嘲笑しながら、さっさと部活へ行こうと席を立ったとき、工藤さんの言葉に体が冷えた
「Aちん、どうかしたのー?」
紫原くんに声をかけられ我に返る。そっと工藤さんたちの方を向けば、彼女たちはもう教室を出た後だった
「どうしたの?」ともう一度言われ、力なく首を横に振る
言うべきだろうか……。いや、でも……
「あっくん、そろそろ部活いかないと遅刻するよー」
「紫原っち、早くー」
前のドアで水色さんと黄瀬が紫原くんを呼んでいる
何週間ぶりに彼女と目が合う。工藤さんがいないのもあり、小さく手を振ってくれた彼女に罪悪感が込み上げる
嬉しそうな、とても嬉しそうな瞳。やんわりと注意しないとわからない程度の表情の変化。目が合っただけなのに、彼女はあんなにも……
私はなんだか見ていられなくなって、逃げるように教室を後にした
頭の中で工藤さんの言葉がループする
『少し痛い目にあわせようよ』
どうして私は水色さんみたいになれないのだろうか……
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時