20.ブルーベリー ページ21
今日のデザートはブルーベリーらしく、相変わらず紫原くんに摘ままれながら食べ進める
「ひなちんがね、気にしないでこのままでいいってぇ」
「うん」
「話せないのは残念だけど、巻き込みたくないからって」
「うん」
あの日。ノートのお礼を水色さんに言った
中々タイミングがつかめなくて、放課後にまで縺れたので明日言うかなと半ば諦めていたとき、ちょうど部活が終わり鍵を返しに廊下を歩いていたらばったり会った
ここで言うのも変かと思ったが、これを逃したらもう言えないような気もした
だが、隣に赤司くんとバスケ部の先輩がいて話そうにも話せない
どうしようと困ったが、
「あー……ひな、救急箱を確認しに行ったことにしとくから」
「あ、はいっ」
頭をかきながら苦笑する先輩に気を使わせたんだと気づき、すれ違いざま慌てて会釈した
赤司くんは暫くこっちを凝視していたが、水色さんを見るなりため息を吐いて先輩の後について行った
「ごめんね。征くん、心配性だから」
言葉も交わしてないのにそう苦笑する水色さんに、あー、あの人たちは私を信じて二人きりにしてくれたんだと察する
そのあと、まだ部活が残っている彼女を長々と引き止めるわけにもいかず、ノートとお見舞いの品について礼を言った
たったそれだけのことなのに、水色さんはとても嬉しそうに笑ってくれたから私も嬉しくなった
だから、浮かれていたんだ……
腕時計をチラリと見て、もうすぐ昼休みが終わることにため息を吐いた
「やだなあ」
「やだねえ」
もしゃもしゃとどこから出したのかと問いたくなるほどまいう棒を食べる紫原くん
「紫原くんも嫌なの?なんで?」
「だって、あいつうざいし」
あいつって工藤さんだろうか……?
彼らしいストレートな言い方に苦笑する。スカートについた土を払い、お弁当箱を持って立ち上がる
「あー、でもー」
んー?と相槌を打ちながら、隣を見ると珍しいくらい真剣な顔をしていて少し驚く
「Aちんが無理しているからやだなあ」
「……え?」
何気なく呟かれた言葉はなんだか有耶無耶にしてはいけない気がした。でも、タイミングがいいのか悪いのかチャイムが鳴り、それどころじゃなくなってしまった
のんびり歩く紫原くんの背中を押しながら、さっきの彼の言葉を脳内で反復する
紫原くん……どういうこと?
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星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時