【悪ノ大罪×ジョジョ】ツェペリ公の狂気<シーザー> (ページ2)

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プロローグ2 ページ2

そのまま彼女は、その香りに釣られるように足を進めた。どこに向かっているのか、なぜ向かっているのか、彼女自身にもわからない。
…けれど、彼女の心に迷いはなかった。“ソコ”に辿り着くことを、何故か深く望んでいた。

花の香りに導かれた鈴美がたどり着いたのは、貴族街に立っている大きな屋敷の前だった。躊躇いなく扉に近づき、彼女は扉を叩く。
少し間が空いたあと、扉は誰の手を借りることも無く、1人でに開いた。それでも躊躇うことなく、鈴美は歩みを進める。

「やあこんばんは、シニョリーナ…こんな夜更けに1人かい？」

突然、男の声が聞こえた。ハッ、と声のする方を向けば、部屋の中央に一人金髪の男が立っていたのだ。

「こんな夜に君のような美しい女性が出歩いていたら危ない…。君が良ければの話だが、俺と共に、素敵な夜を過ごさないかな？」

その時、男のペリドットのような緑の瞳が、血のような紅色に変化し、妖しく光った。その瞬間、鈴美が感じていた花の香りは一気に強まる。酔ってしまうような感覚にクラり、と思わずふらついてしまう。
けれど、鈴美の顔に恐怖はなかった。それどころか…まるで、母を見つけた迷子の子供のように、安心した微笑みを浮かべていたのだ。
それを見た男は妖艶に笑って、鈴美に囁いた。

「おいで、可愛い人…。さぁ、踊ろうか」

こうしてまた一人、妖しげな花につられた哀れな女は、男の新しき妻となる。

＿＿男の名はシーザー・ツェペリ。七つの罪のうちのひとつ…“色欲”にその身を委ねた公爵である。
得ることの出来なかった、愛を得るために。