『黒子のバスケ』flag建設少女Ｘの憂鬱『トリップ』

空間 ページ2

両親が死んだあの日から、私は生ける屍状態だった


記憶はあいまい、会話は支離滅裂


歌手としての仕事も休止にしてもらった


最初のうちは学校にいっていたが、そのうち休むようになった


部屋に閉じこもり、カーテンはしめ、玄関の鍵もかけてチェーンロックもつけた


――――完全なる閉鎖空間―――――


チャイムが鳴っても居留守を使い、電話が鳴っても出なかった


時々外が騒がしかったが、しばらくすれば静かになった


『・・・今、何時なんだろうなぁ・・・』


久々に出した声は掠れてて、とても自分の声だとは思えなかった


まぁ、仕方ないだろう


あの日から、水も食事もとっていないのだから


体は空腹を訴えているのに、脳が食物をとるのを拒否している


それに、カレンダーは当時のまま、時計も壊してしまった


だから私には時間の感覚がもうない


今は朝かもしれないし、ひるかもしれない


いや、眠くなってきたから夜なのかも


・・・もう、どうでもいいけど


そんなことを考えて何度目かの意識を飛ばす際、ガシャンッという・・・ガラスが割れるような音が聞こえた


それと同時にドタドタドタという音が聞こえ、部屋のドアが開いた


誰が入ってきたのか確認したかったが、そんな思考とは裏腹にまぶたはどんどん下がってくる


―――最後に見たのは、蜂蜜色のナニカ―――


次に目覚めるかどうかは、わからない

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