ストロベリースカッシュ《三ツ谷隆》

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『三ツ谷〜、課題見せてー』

「オレ、Aより成績悪ぃんだけど？」



『三ツ谷〜、お腹空いた〜』

「これ、Aの早弁用おにぎりな」



二年になっても私と三ツ谷の関係は変わらない。
一年の時はお互い"君"と"さん"を付けてたけれど、いつの間にか自然にそれもなくなった。

付き合ってるの？と聞かれるけれど、そこはお互い全力で否定。



『付き合ってない！』

「付き合ってねェ！」



こんなに仲良いのに…とも言われるけれど、三ツ谷とはこの関係が良い。
変に付き合ってお互い意識して、ギクシャクして別れて…は嫌なんだ。
三ツ谷は彼氏にしちゃうには勿体無い、そんな男子になっていた。



「うわ〜、三ツ谷君、可哀想」

『ん？何か言った？』

「うううん、何もないよ」



昼休み、屋上での食事中に友達が何かを言っていた。
聞いても首を横に振る彼女を、そぉ？と言って気に留めなかった。

そんな時に予鈴が鳴り響き、2人して慌てて屋上を出て教室へ。
途中、学年主任の先生に見つかって廊下を走るなー！と怒鳴られたけど、そんな事は気にしない。
すいませーん！と笑いながら教室に逃げ込めば、待っているのは三ツ谷。



「ギリギリ」

『間に合って良かった〜』

「あ、A、ここ解れてる」

『え、どこどこ？』



ここ、と言って自分では見えない襟元に三ツ谷が触れて。

その時に軽く地肌に触れた三ツ谷の指先の感覚が女子とは全然違くて。
皮膚の厚めな…ガッチリした男子の手って感じで。

少し…ドキッとしたのは内緒の話。








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