【東京喰種】握り返して____、

あんていく22 ページ27

私は、泣きつかれて、ソファーに身を預けた。

アヤト君は、私の事嫌いになっちゃったみたい…

当たり前なのに…心が受け止めてくれない。

悲しくない、それに、だいだい予想してた通りじゃないか…

と思うのに、心の奥底では、どうして、、、なんで、、、と、苦しんでいる私がいる。

どす黒い感情が渦を巻く。はきだしたいのに、それは、心の奥へ奥へと向かい、どんどん私を侵食する。

「アヤト君が悪いんだよ…。」

そう思うようになった。

私は悪くない。悪くない。自分に言い聞かせるようにして…

でも…彼のせいにしたところで、その感情は収まりそうになかった。

本当は、アヤト君は何も悪くないって分かっているのに…自分のせいじゃないって、私は間違ってない、って、自分の事ばかり考えて、結局辿り着く答えは、ひとつだけだった。

もう会う機会はないかもしれない。
彼の居場所を知らない。

会ったとしてもその時は他人。

普通の通行人。

もう一度謝っても意味はないだろう。

というより、謝るのが怖くて躊躇しているだけかもしれない。

謝りにいったら、また今日みたいな事を言われるかもしれないから。

それがただただ怖かった。

アヤト君に嫌われる事が怖くて。悲しくて。寂しくて。

もう嫌われているかもしれないけれど、これ以上嫌われたら、生きていけなくなるだろうから。

全ての事を忘れてしまおう。
明日は、新しい自分になると決めた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
アヤトside

Aに嫌われてしまった…。

自分から嫌われるように仕組んだのに、苦しい。

人間なんて大嫌いなはずなのに、

俺はどうしてこんなに人間の事で悩んでいるんだ。

…()

理由は分かっていた。

ただ純粋にアイツが好きだから。

人間のアイツが好きだから。

明日になったら忘れていたい、

記憶が、抜き消してあればいい…


…………幸せになれ…よ………
彼女がいなくなった時に出てきた、紛れもない正直な、心からの願い…

Aは、泣いていないだろうか。辛くないだろうか。

彼の心のように、雨はなりやまなかった。

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