焦がれ暁夢うつつ【NARUTO】完結済

【最終話】私が人間になった日 ページ15

『サソリ………サソリッ………サソリ……………あ…あぁ………ぅあぁああああああああぁあぁああ!!!!』

その叫びは曇天を貫き､砂漠に雨を降らせた
雨は大地を潤し､荒野に花を咲かせた
美しい桔梗の花だ





抜け忍であるサソリの墓は､Aが遠く離れた丘に造った
毎日､忍務が終わると､ここに来て一日に起きたことを話す
彼の意志を継ぎ､自らも傀儡師になった
彼の技術にはまだ遠いが､なかなか上手いものだと 里の皆から評判だ

これをサソリが聞いていれば張り合ってくるだろうなと微笑む


彼の求めた美を､自らの手で成し遂げることが サソリを弔う方法と､そう考えて毎日傀儡を作った

『お前の意志は私が受け継いだ…｡だからお前は私とともに生きている』



変わらない日常､移ろう季節にお前はいないが､それでも寂しくはなかった


変わらない………いや､一つ変わったことがある
お前が死んだあの日から､少しずつ､歳をとるようになった
これは驚いたが､嬉しい変化だった

理由はわからない
少しずつ少女の姿から大人になる
人の生とは面白い






それからいくつもの時が流れAはその時を悟り
導かれるようにサソリが眠るあの丘へ向かった
不思議と穏やかだった

『死とは……存外､怖くはないな』

ーーーーー俺の分まで､頑張ったんだなA もういいぜ｡俺も待てねぇ


愛しい声が聞こえる
微かに微笑み､瞳を閉じた




次の日､丘の上､季節外れの桔梗が咲き乱れる中に穏やかな表情のAが見つかった

その姿はサソリと出会った頃､その美しさを称えていた



桔梗の花言葉は『変わらない愛』

お礼の言葉→←お前の永遠に寄り添いたかった

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