*番外編 神の国にて5 ページ8
ランバネインは、顔がばれてしまわないようにと被っていたフードをとる。私も念のため着てきていた白いローブを脱いだ。
視界一杯に澄んだ空と町並みが広がる。ここでその眺めを彼と共に堪能する時間が、私も結構好きだった。
ランバネイン「そういえばA、お前この間閃蝶のデータとるついでに新型トリオン兵と戦ったんだろ。どうだったんだ」
A「ラービットのことですね」
ランバネイン「そうそう。トリガー使いの捕獲、なんて趣味悪いこと考えるよなあ」
A「考えたのあなたの兄じゃないですか…。うーん、私はあれ好きじゃなかったですね」
ランバネイン「好き嫌いか、面白い。どういう意味だ?」
A「トリオン兵って柔らかくて弱くて、サクサク倒せるのが売りじゃないですか。でもあいつは動き速いし硬いし、耳も目もよく力も強く…サクッと倒せないから嫌です」
すると一瞬きょとんとしてから、大きな体躯を震わせて笑い出した。
ランバネイン「っははは…!全く、トリオン兵を送り込んでる全ての国々が泣くぞ」
A「でもランバネインのトリガーの猛攻なら、簡単に装甲がへこんで腕がちぎれるかも。見てみたら爽快でしょうね」
ランバネイン「そういうの、なんていうんだったか…ええと、」
A「…サイコパス?」
ランバネイン「そう、それだ。Aはさいこぱすだなあ」
この間ミラさんのような人を玄界ではサイコパスと呼ぶんです、と言ったら覚えてしまったらしい。
ちなみにランバネインがミラさん本人に「お前さいこぱす」と言ったときは、「意味は分からないけど不快な感じがするわ」と棘を構えられたとかいないとか。
ランバネイン「しかし玄界の言語や文化というのは興味深い。さいこぱすに…もえ?いつか学んでみたいものだな」
A「あなたが好きなお肉とお酒も、向こうならすごくたくさんの種類がありますよ。…いつか案内したいですね」
ランバネイン「侵攻以外の目的でほかの国に行くというのは、こちらではないからな」
A「ふふ、食べ物や服飾、音楽、絵画…玄界とこちら側ってかなり違いますから。きっとランバネインも気に入ります」
ランバネイン「それは確かに面白そうだ。いつか案内してくれ、A」
___お互いに、『いつか』なんて来るはずないことは分かっていた。
それでも夕日の照らすこの時間だけはそんな事実には気づかないふりをして、私たちは笑った。
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フォルテ(プロフ) - kasunana__ka10iさん、コメントありがとうございます。続編は先ほどまで準備中でしたが、只今公開しましたのでご覧くださいませ!お待たせいたしました。 (2021年2月18日 18時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
kasunana__ka10i(プロフ) - いつも楽しく拝読させていただいています!続編のパスワードはどこでみたらわかりますか? (2021年2月18日 18時) (レス) id: 74459d3d5c (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - ゆかりさん、コメントありがとうございます。少しでもお勉強の励みになれたら幸いです。これからも更新頑張ります! (2021年2月17日 18時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 受験勉強の息抜きに見てるんですが、やっぱり面白いです。これからも応援してます。更新頑張ってください。 (2021年2月17日 15時) (レス) id: 62a35361d3 (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - まるさん、 コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです!先程ご指摘いただいた箇所に修正を加えました。主要キャラクターの名前ミスはお恥ずかしい限りです…また誤字や不適切な表現があれば教えて頂けると幸いです! (2021年2月17日 14時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フォルテ | 作成日時:2021年2月6日 4時