4年前死んだはずの彼女が、帰ってきたらしい。3【ワートリ】

＊番外編　バレンタイン１ ページ34

2月14日。今日は俗に言うバレンタインデーというやつ。


昼頃にボーダー基地に向かうと、時間帯もあるのかラウンジにはかなりの人がいた。女の子が男の子にチョコレートをあげる様子もちらほら見られる。



迅「よーA、奇遇だな」

A「迅が奇遇だなとか白々しいなあ…どうしたの、本部に用事？」

迅「そんなところ」

A「ふうん、そうなんだ」



にこにこしながらこちらを見てくる彼は、面白いのでそのままスルーしてみる。

ラウンジでご飯を食べている中に二宮隊を見つけた。



A「みなさん、ハッピーバレンタインです！」

犬飼「おっやったね〜Aちゃんのチョコ！」

二宮「ああ、そうかバレンタインデーだったな」

氷見「ありがとう、嬉しいな」

辻「あ、ありがとう」


二宮さん、その量のチョコレートをもらっておいて、今の今までバレンタインデーって気づかなかったのは流石に天然すぎると思うんですが…。

みんな美形なのでファンが多いのか、彼らの手元には既にチョコレート。いくつか食べたらしく空いたラッピングの袋もテーブルにおいてあった。



A「どうぞ！私からの気持ちです」


タッパに詰めた大量のそれを、彼らに差し出した。


氷見「ん、唐揚げ…？」

A「はい！作ってきました」

犬飼「ふ、あはは…っAちゃんのそういうとこ面白いよね」

A「ばかにしてます…？」

犬飼「いやー褒めてる」


私が爪楊枝を差し出すと、みんなひとつずつとっていく。


二宮「美味いな」

辻「美味しいです」

氷見「私のも受け取って」

A「いいの？ありがとうひゃみちゃん！！」


ひゃみちゃんは可愛くラッピングされたチョコレートをくれる。


ラウンジには風間隊の面々も見かけられた。



A「蒼也くんたちも、どうぞ！ハッピーバレンタイン！」


風間「…唐揚げ？」

A「うん、お昼時だし」

歌川「ありがとうございます、頂きますね」

菊地原「確かに口の中甘ったるいし丁度良かった」

三上「すごく美味しいです！」


迅「あのーA俺には…？」


先ほどから付いてきている迅は、少し不安そうに私を覗き込んだ。


A「…ふふ、無視してごめんってば、迅も唐揚げどうぞ」

迅「えー特別なの期待してたんだけどな」

A「残念ながらありません！」

迅「じゃあその箱は何なの」


私が持っている袋の中に一つだけ入った、可愛い箱に包んだお菓子。それを迅は指さした。


A「これは、…」


　

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