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第94話 ページ14




A「ヒュース?」



玉狛支部地下室。電気も付けていない真っ暗な部屋だった。さすがに牢獄じゃあるまいし、電気も通ってるはずなんだけど。


パチン、と灯りを点けると、綺麗なセピア色の彼がベッドに座っていた。

アフトクラトルの服を見慣れているからか、玄界の洋服を着ている彼を見ると少し違和感がある。元が美形だから似合ってはいるけれど。



ヒュース「…A。倒れて寝込んでいたと聞いたが、もう平気なのか」


A「うん。閃蝶使ってトリオン切れちゃっただけだから」


ヒュース「___そうか」



よく私が暴走してしまった時の様子を見ていたヒュースは、少し複雑そうな顔をしたけれど、それ以上は何も言わなかった。



A「ヒュースは電気も点けずに何してたの」


ヒュース「少し考え事を」


A「…向こうに帰る方法について?」


ヒュース「…」



それまで表情を変えなかったヒュースが、ピクリと眉を動かした。


正面に座って目を合わせると、ふい、とそらされてしまう。


ヒュース、と名前を呼ぶと、再び視線が絡んだ。



A「本当は帰らせてあげたいんだけど」


ヒュース「…お前に、玄界を裏切らせることなどできない」


A「ヒュースは私にそうしてくれたのにね。…でも私がそうしてあげることはできない。ごめん」


ヒュース「____、」


A「…それでも私がヒュースの味方だって、忘れないで。私が守るから、だから安心して」



真っ直ぐ彼をの目を見て、微笑を浮かべた。少しでも瞳の奥に隠された不安がとれるように。

ヒュースはかすかに目を見開いていた。少しの沈黙の後、はあ、と息をつく。



ヒュース「…遠征に参加する以上、死だって覚悟している。必要ならば斬れ、お前の玄界での立場を悪くしたくない」


A「ふふ、大丈夫です、心配しなくても上手くやります。…いつか必ず、帰すから」



安心できるように、頭を抱き寄せる。昔と変わらないふわふわの髪を撫でると少しくすぐったそうだったが、彼は大人しくされるがままになっていた。


 

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フォルテ(プロフ) - kasunana__ka10iさん、コメントありがとうございます。続編は先ほどまで準備中でしたが、只今公開しましたのでご覧くださいませ!お待たせいたしました。 (2021年2月18日 18時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
kasunana__ka10i(プロフ) - いつも楽しく拝読させていただいています!続編のパスワードはどこでみたらわかりますか? (2021年2月18日 18時) (レス) id: 74459d3d5c (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - ゆかりさん、コメントありがとうございます。少しでもお勉強の励みになれたら幸いです。これからも更新頑張ります! (2021年2月17日 18時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 受験勉強の息抜きに見てるんですが、やっぱり面白いです。これからも応援してます。更新頑張ってください。 (2021年2月17日 15時) (レス) id: 62a35361d3 (このIDを非表示/違反報告)
フォルテ(プロフ) - まるさん、 コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです!先程ご指摘いただいた箇所に修正を加えました。主要キャラクターの名前ミスはお恥ずかしい限りです…また誤字や不適切な表現があれば教えて頂けると幸いです! (2021年2月17日 14時) (レス) id: d29ecefbc9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フォルテ | 作成日時:2021年2月6日 4時

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