新しい世界でハッピーシュガーライフ

２９．裏切り者は死をもって…〜前編〜 ページ31

夢主side

今日も森さんにしおちゃんのことを預けようかな。

しおちゃんの手を引いて首領室まで歩いていると後ろから声を掛けられた。

「A、お主今から任務じゃろう？その間私がしおを預かってやろう」

『本当ですか？ありがとうございます』

「良い着物を手にしたので、誰かに着て欲しかったのじゃ」

森さんの他にもいたんだ、着せ替えが趣味の人。

とか心の中で思いながら姐さんにお願いして私は首領室まで急いだ。


「今日の任務は芥川君と中原君と行って来て欲しい。最近うちの傘下の企業が裏切りを起こしてね。関係者を捕まえて欲しいんだ。殺さない程度だったら何をしても良いから」

『分かりました』

「もう二人は下で待っているから」

『はい』

「ところで…今日しおちゃんは？」

『尾崎幹部に預けています』

その言葉を聞くととても寂しそうにしゅんとする森さん。

…マフィアってこんな感じで良いんだろうか。


「じゃあ、今回の作戦の確認をするぜ」

私達は中也さんの車で例の裏切り者のところに向かっている。

「ま、作戦って言っても異能力者もいねぇから各自社長を見つけたら生け捕りに、其れ以外は始末するってだけだけどな」

『生け捕りって言う事は生きてさえいれば良いんですよね？』

「あァ、そうだが…手前初めての割に怖くねぇのかよ」

『えっと、まぁ、大丈夫ですね』

「流石は太宰さんと仕事をした人だ」

『何で知ってるの？』

「風の噂で。昨日も夕方の仕事は太宰さんがいたとか…」

黒服さん達に聞いたのかな。

「…一寸待て、芥川。手前昨日は朝から任務で帰ってきたのはさっきじゃなかったか？」

「僕は太宰さんの事なら何でも知っている故」

「おい、其れかなり怖いぞ」

「怖いと言われようが僕は太宰さんに認めてもらうためならば…！」

「其れもう認められる云々の話じゃ無くなってきてねぇか？変な事はやめとけよ」

「その点に関してはご安心を。この前お会いした際に取り付けておいた盗聴器はもう壊れてしまったのか何も聞こえません」

「いや、其れ絶対バレて壊されてるからなッ！？」

この前から思っていたのだけれど、龍君の太宰さんに向けられているのは何なのだろうか。

愛にしては常軌を逸して…いや、そんな事ないか。

二人の漫才？を聞きながらぼんやりとしていると車が止まった。

どうやら着いたらしい。

さてと…

早く終わらせてしおちゃんのところに帰りたいな。

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