恥ずかしがり屋と呪言師 (ページ26)

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１３話ページ26

ぼやっと働かない頭で天井を見つめていると部屋にスマホが独特な音とともに連絡が入ったことを知らせた
渋々スマホを開くと“五条先生”と表示されて
おり、通話ボタンを押した

「おはよー今日もGLGな五条先生だよー！」

私のテンションとは逆に高いようで朝からため息が出てしまう

「Aが高専に来てないみたいだから電話しちゃった」

高専に来てない？だって、まだそんな時間ではと思い確認すれば、既に９時を回っていた

声にならない声をあげて「今いきます」とあわてて電話を切り、身支度をすると鏡に写る噛み跡

昨日の恵くん、怖かったなぁ……

薬箱から湿布を取り出し、隠すようにペタりと貼りつけた

「急がなきゃ」

荷物を素早くまとめ、高専の教室へと向かった

慌てて教室に入るとそこには2年生もいて、「おせーぞ」と真希先輩がこちらを見ていた

「ごめんなさい、すっかり寝過ごしたんです」

「寝過ごすくらい何してたのよ」

「え、あ、ちょっと……考えごと」

棘先輩とぱっちり目があってしまい、思わず目をそらした

「さあ、主役が来たし、良い報告をしまぁす！」

手をパンパンと叩き、五条先生がにこりと笑った

「この度、Aは４級から３級に昇格です！おめでとう！」

すっと私の前に来たかと思うと抱き上げられた

「あ、ありがとうございます？」

「また疑問系にしちゃうあたり可愛いねぇ」

うっとりと言うようにこちらを見ている五条先生に困ったように見つめれば、急に引っ張られ剥がされたかと思うと後ろから今度は抱き締められた

「おかかっ！ツナ、高菜“やめてっ！Aが困ってる”」

「棘先輩？」

頭の上から聞こえる声が誰なのか分かると、顔が暑くなる

「あ、あの、大丈夫だから」

「すじこ、おかか“俺がいやだ”」

むっとしている棘先輩は、これでもかと抱きしめてくる

「あれ？A、狗巻先輩の言葉分かるの？」

場のやりとりを見ていた野薔薇ちゃんが不思議そうに首をかしげていた

「あ、なんとなく……ニュアンス？雰囲気で分かるかも
じゃなくて。離れてください」

少し言葉が分かってきたことが嬉しいのか「しゃけ！ツナマヨ」とにこにこと満足そうに離れていった

「そんな仲良しな2人に任務でーす。14時出発だよ、遅れないでね
僕は今から東北まで出張なので自習しておいて！じゃっ」

ひらひらと手を降りさっさと居なくなってしまった