恥ずかしがり屋と呪言師 (ページ16)

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それから一時解散となり、野薔薇ちゃんは着替えがない為にそのままグラウンドに向かい、恵くんは用事があると何処かに行ってしまった

「あんたも行くわよ」

「え？いや、私は」と拒否したが、私まで腕を引かれて、連行された

野薔薇ちゃんは前回の私同様に受け身の練習のようでパンダ先輩に追いかけられては、投げられていた

「ほら、かかってこいよ」

一方の私は真希先輩と護身術のような体術をすることになり、真希先輩から１本取らなければならない

「行きます！」と意気込むが向かった瞬間に拳は見事に交わされ、脚技を使えばくるりと意図も簡単にひっくり返された

理由は簡単で、ただ単に集中出来ていない
野薔薇ちゃんが投げ飛ばされる度に「いくらぁ」と受け止めようとする狗巻先輩が目に入り、なんかモヤモヤが止まらない

私のときはなかったのに

「ほらー、集中しろー」

真希先輩が目の前に見えた時には既に遅く、すっかり脚を払われ転んでしまった

「やっぱり真希先輩つよいや」

「お前、棘となんかあったのか？」

私の言葉に対して違う答えに思わず「え゛」と変な声が出てしまった

「なんだ、早く言えよ
それが解決しないと集中も何もねぇだろ」

なんだ、この学校は。
みんな本人を目の前にして、本音を言わないといけないとか辛辣すぎない？

「いや、個人的問題と言うか。自分のことだけどわかんないと言いますか……」

あんまりに歯切れの悪い反応に真希先輩がため息を吐き「おーい！棘ー！」と本人を呼び出してしまった

「ツーナ」と駆け寄ってきた先輩にどう反応していいか分からず「ごめんなさぁぁぁい」と逃げようとした途端、階段を降りてこようとした恵くんとぶつかってしまった

後ろに倒れそうになったが、恵くんが腕を引っ張ってくれたお陰で階段から落ちることは避けられた

「ありがとう！助かった。色んな意味で」

恵くんが登場してくれたお陰でスッと隠れることが出来、少し安心した

ん？あれ？なんで？恵くんにドキドキしない？

「本当に棘、お前、何したんだ？まさか苛めてねぇだろうな」

真希先輩の疑いの言葉に「おかか！！」と否定していた

「棘先輩は悪くないの！私が勝手にドキドキしちゃうの！！」

うっかり口を滑らせ、本音をぶちかましたことに恥ずかしくなり、顔が赤くなるのが分かった

「だから、そのごめんなさぁぁぁい」と再び逃走をしようと足をすすめれば「A逃げんなぁぁ」と投げ飛ばされている野薔薇ちゃんの声が聞こえた