49 追憶/ 元保護者 ページ49
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右京Aの中にあるいちばん古い記憶は、雪景色。
何月何日なんて覚えていない。だけど書類には残されている。
なぜならAが施設に入った日だから。
「Aちゃん、」
「もう！遅いよ！」
「ごめんね、あの子達の朝ごはんの後片付けとかしてたら時間になってたみたいでさ」
「…やっぱり私も手伝いに行った方がいいんじゃない?
施設長だけじゃ回らないよ。この前たったひとりのバイトにも辞められちゃったんでしょ?」
Aはそう言いながらメニューを渡した。
ありがとう、と笑う施設長のメガネは少し傾いている。また気づいてないんだろうな。
「うーん…何度も言うようだけど、Aちゃんには迷惑をかけられない。気持ちだけ受け取るよ」
「そんなこと言ったって可哀想になるのはあの子達だよ！
親権…だっけ、それはまだ施設長にあるんだから私いつでも施設に戻れるし！」
「…施設はダメだって、社長さんに言われてるよね。何のために事務所の人が…ううん。Aちゃんが今やるべき事は俺の手伝いじゃない。分かるよね? 自分で言ったんだ」
「…アイドルに、なる。なって、いっぱいお金稼ぐ」
「そう。君がやるべき事はお金のために売れる事。
今はそのスタートラインに立ってるんだから…引き返すような真似はしちゃダメ」
「…わかったよ」
威勢がなくなるAを見て、施設長は少し苦笑いをする。
話がひと段落ついたところで施設長が店員さんを呼んでナポリタンを頼んだ。Aちゃんは? と聞かれ、首を横に振る。
「私はいいや。お腹すいてないし」
「……、それで大丈夫です」
店員さんがキッチンに入るのを見送る。
Aは既に頼んであったりんごジュースを口にした。
「そういえばテレビ見たよ、かっこよくてすごかった。あの子達もAちゃんだ！って喜んでた」
「ほんと? うれしいなぁ。社長さんがね、夢ノ咲のお披露目でいいライブ見せてくれたからって音楽番組出してくれたの」
「学校は? 楽しい? 友達は…できてないか、小中でいなかったもんなぁ、君」
「ふっふっふ…それがいるんだよなー！あのねあのね、夏目って子がね──」
それからAが話したのはあの秘密の部屋の話、変なあだ名で呼ばれてる話、面白い4人の先輩たちの話。どれも楽しそうに話すものだから、施設長はこんなに人に興味を持つようになったのかと、思った。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは！コメントありがとうございます！新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…！楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年4月2日 0時
