19 追憶/ 魔法 ページ19
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「な、何なのここ…！」
魔法陣みたいなものが描かれているカーペット、その上で赤い髪の男の子が研究者のようにフラスコを手にしている。
まるで絵本やアニメの中に入り込んだみたいだ、とAは思った。男の子の容姿も整っているからか余計に現実味がない。
驚きのあまり固まっているAに、男の子はため息をついた。
「キミ…いつまでマヌケな顔して立ってるつもリ?」
「…ここで何してるの?」
「見ての通り実験だヨ」
「実験」
情報量の多さに頭がパンクしてしまう。思わずオウム返しする程度には。
( 実験って理科の授業でやるやつじゃないの? 何でこの子高校生なのに授業じゃないところで…?)
高校生の前にアイドルでもある。
一体この子は何者なのか。
「ボクもまだまだみたいダ。キミが来るならすぐ分かったはずなのニ…。というカ、どうやって入ってきたノ?」
「普通に本棚から…?」
「…センパイったら鍵をそのままにして行ったのカ」
「鍵開けたらいきなり本棚がエレベーターみたいになったの！」
「そういうシステムだからネ。…ここにいても何も歓迎してられないシ、早く帰りなヨ。右京Aチャン」
思いのほか冷たい態度に腹が立ち、言われなくても帰ると言おうとした時、名前を呼ばれた。「えっ」と膝をついて男の子に迫るA。案の定男の子も「うわ」と退いた。
「な、何…！」
「何で私の名前知ってるの? 私あなたのこと知らないよ」
「…クラスメイトだかラ」
「え！そうだったの?」
「まともに出てないから知らないのも無理はないけド。
でもキミを一方的に知ってるのはボクだけじゃないと思うヨ」
「…どういうこと?」
ス…とAが男の子から離れると、男の子は乱れた白衣を着直した。
「『初の女性アイドルのテスター』に興味を持たない人は少ないんじゃなイ? ここは男子校なんだかラ」
「なんだ…そういうこと」
「普通に考えれば分かることだヨ。キミ、頭が悪いのかナ」
「うーんまあ否定できないかな。勉強嫌いなの。
それより、あなた名前なんて言うの?」
「…逆先夏目」
「夏目！私と友達になって」
嫌味が通じず眉を寄せる夏目だったが、Aの素っ頓狂な発言に今度は目眩がしそうだ。こんなに話が通じないなんて。
友達なんていらない。そう答えようとしたものの、このままつきまとわれても面倒だからと夏目は縦に首を振った。
それが、後悔してしまう始まりだと知らなかった。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは！コメントありがとうございます！新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…！楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年4月2日 0時
