11 追憶/ はじめまして ページ11
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声がした方を見ると、頭を抱えてしゃがむ男の子がいた。
その前には雑草が無限に生えた壁面。何してるんだろ…。
男の子は徐に立ち上がって雑草の中をかき分けて何かを探しているようだった。
( … )
別にその男の子を助けたいわけじゃなかったけど、この学院では稀に見る弱々しい男の子だし。気づいたら声をかけていた。
「へ…? え、女の子…?」
「そんなところで……何してるの、探し物?」
「え、ぁ、っと……」
驚いた。左右で瞳の色が違うなんて。
Aが瞳を見て驚いたことが分かったのか、男の子は困った顔で口をもごもごと動かした。
「…探し物手伝う」
「な、なんで…? おれ手伝って欲しいなんか」
「んー私今暇だから、暇つぶしで探してあげる」
「…優しい子なんやと思ったけどそんなことなさそうやね」
「何探してるの?」
「あ…えと、このお人形さんの目が取れてしもうて…紫色のボタンなんやけど」
そう見せてきたのは継ぎ接ぎのうさぎのぬいぐるみ。
取れたというもう片方の目には同じ紫色のボタンが着いている。
指をさしてこれと同じ物か聞くと、そうだと言う。
「雑草の中に入るなんてついてないね」
「うぅ…ちょっと腕が引っかかっただけでポーンって飛んでいったんや…」
「じゃあ奥の方かな」
威力があったなら遠くの方へ飛ばされたはず…。
「…ところできみ、何で女の子なのにここにおるん?
ここ、男子校だと思っとったのに…おれが知らんかっただけ…?」
「私はテスターとしてアイドル科に来たの。ここで経験積んで立派なアイドルになる」
「へえ…そうやったんや、偉いなあ。おれ、施設にいた時は女の子に囲まれとったから…ちょっと安心するわぁ」
「施設? …」
「おん。関西にあるんやけど、そこから来たんや。今はお師さんのとこに居させてもらっててな、」
「私も！」
「え?」
ぐいっと男の子に近づいて、興奮したように大きな声を出した。男の子も戸惑ったように「え、え?」と眉を下げた。
「私も施設出身なの！」
「ほへ…そうやったんかあ」
「ねえ、名前なんていうの? 私は右京A！」
「影片みかやで、Aちゃんって名前も可愛いんやね」
自分の方が可愛い名前をしてるのに。そう言おうと思ったけどなぜか言わない方がいいと思って、口を噤んだ。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは！コメントありがとうございます！新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…！楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年4月2日 0時
