3 専用衣装/ 私の意志 ページ3
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季節は秋。今日は花粉が酷いと昨日のスタイリストさんが零していたのを思い出す。花粉症ではないけれど低気圧のせいで頭がすごく痛い。授業中、Aは窓際1番後ろの席でズキズキと痛む頭を抑えていた。
元々の頭が悪い上に久しぶりの授業だからまったく分からない。何のために来てるんだろう、と思うけれど今日は佐賀美先生から呼び出されて来たんだと思い出した。
教室にはAに話しかける人などいない。正確に言えば、Aと気軽に話すほど仲が良い人がいない。ESが設立されて事務所に配分されるようになり、去年以上にアイドルとしての仕事が増えた。それを踏まえて学校にはあまり来なくてもいい事になったのだ。だからここにいる生徒は基本仕事がない生徒と考えていいだろう。Aのような例外もいるだろうが。
Aの友人はみんな売れっ子アイドル。話しかけてくれる人などいないのだ。まあ、元々友人なんて数少ないのだけれど。この教室にいるのは、アイドル・右京Aに興味がある男子生徒だけ。ただの右京Aに興味がある彼らは、いない。
授業終了のチャイムが鳴った。
「お〜〜、来たか」
昼休み。保健室に入ればお目当ての人物が頬杖をついて座っていた。佐賀美先生もドアが開く音でAに気づいたのか、わざわざ立って迎えてくれた。
「陣くん、なんか老けた」
「その呼び方やめろっての。佐賀美先生って呼びなさい」
「は〜い」
会うのはいつぶりだろうか。Aはアイドルをやっているから佐賀美先生は彼女を見ているかもしれないが、逆はそうじゃない。もう彼はアイドルじゃないから夢ノ咲やESビルに行かないと見れない。
久しぶりの会話が楽しくて口角を上げた。
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かげやま(プロフ) - みそらーさん» こんにちは!コメントありがとうございます!新作です〜🥳こちらこそ楽しんでもらえるようにがんばります✊ (2022年4月2日 15時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
みそらー(プロフ) - し、新作ですか…!楽しみです。自分のペースで、応援してます!! (2022年4月2日 15時) (レス) id: 6e5a03b04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2022年4月2日 0時