47 お出かけ ページ47
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トマトジュースなんてどこにあるんだ…。
そう悩んで数分後、外に『新メニュー・トマトジュース!』と書かれた看板を出している店を見つけた。
( あるんだ )
さっきとは打って変わってきゃぴきゃぴと女子高生のようにはしゃいでいる零に引きずられて、店に入る。
高身長の男のふたり組というのは結構目立つようで。
街中を歩いている時も目線が集まっていたが、店内でもそうらしい。てかバレてる。絶対に零くんはバレてる。
「待って…、あれ朔間零じゃない…?」
「じゃあ一緒にいるのってAくん?」
「えっ」「えっ」
…バレてる。
「零くん、早いとこトマトジュース飲んで帰ろ。そうしようね」
「…Aくんは我輩とデートする気ないのかえ…?」
「ない」
「冷たい!」
男とデートなんてする気ないに決まってるでしょ。
注目も集まってるし、面倒ごとは起こしたくないよ。
とりあえず何か頼もう、とメニュー表を手にする。
あー、ここイタリアンか。トマトジュースもあるの納得だよ。
そこから、ある程度決めたAは店員さんを呼ぶ。
「ミニサラダとオレンジジュースひとつずつと、生ハムサラダとトマトジュースひとつずつ」
「かしこまりました」
そう言って戻って行った店員さんを見送って、スマホをいじる。
『朔間零』と『白神A』で調べれば、仕事が早いことで遭遇情報が出されていた。
だがこの店ではなく、街中。その時点でバレてたのか。
…「仲良く歩いたそうです」ってなんだこれ。
「最近の若者はスマホスマホって、寂しいのう」
「そーだねー」
「何がそんなに楽しいのじゃ」
「そーだねー」
「……。Aくん我輩のこと嫌いになったのかえ」
「そーだねー」
「うわぁん!」
まじだるいなこの人…。
ため息をついて仕方なくスマホをしまう。
話すことなんかないくせに。
「ふたりでこうして出かけるの久々ではないか?」
「そうかな…、ああ。2年生の夏ぐらいに行ったねそういえば」
「うむ。その時はAくんから誘ってくれたのに、今はもうさっぱりと……」
「だって零くん変わっちゃってうざくなったから」
会話をしている内に頼んだものがきた。
のわりには、零は嬉しくなさそうだ。
お楽しみのトマトジュースが来たというのに。
そんなのはお構いなしにAはサラダを口に運んでいく。
「…Aクン、寂し〜こと言うなよ」
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かげやま(プロフ) - あこ 千秋推しさん» コメントありがとうございます。まさか千秋推しさんに読んでいただけるとは…!お褒めの言葉嬉しいです(^^) (2020年5月8日 4時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
あこ 千秋推し - 手短に一言だけ。神です。 (2020年5月3日 21時) (レス) id: 93d2604178 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - せんり@お絵描き部所属@流星隊pさん» ダメージ喰らいました。ありがとうございます!!(^^) (2019年4月4日 19時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
せんり@お絵描き部所属@流星隊p(プロフ) - 好きです(突然の告白) (2019年4月4日 12時) (レス) id: 6097f66ba7 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 永瀬まゆさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です(;;) (2019年1月19日 20時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2018年12月25日 0時