【あんスタ】闇堕ちヒーローの話。【男主】 (ページ32)

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32 捜しものページ32

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体を上手く使いこなして、ミツルと呼ばれた男の子はジャンプで起き上がり、何も言わずに佇んでいるAに顔を近づけてこう言った。

「白神Aさん！手伝って欲しいんだぜ！」

「…はあ?」

挑発的ではなく、ただ疑問に思っているようにAは首を傾げた。

ーーー

「うっ、重い…！」

「……」

重い物を持つことで上半身ごと下がっているミツルを横目に、ひょいと軽々しくダンボールを持ち上げるA。

ミツルは驚いたような表情でAを見る。

「力持ち！シロちゃん先輩！」

「俺はまぁ、鍛えてるしね」

「うぅ、拙者も鍛えないといけないでござる…！」

「オレも！」

Aはふと思う。

俺何してんだっけ…?

確かやる事がなくて歩いてたんだよね。そうだ。
そしたらミツルにぶつかって……。
…、『ミツル』ってどこかで聞いたことある…気がする。

ミツル、ミツル……みつる

「あ、ミツルってなずのとこの?」

「なず…?」

「仁兎なずな。“Ra*bits”のリーダーの。ミツルってそこの子でしょ」

「に～ちゃん！そうだぜ、オレは“Ra*bits”の天満光！」

友也といい、ミツルといい…なずなのおかげでAは“Ra*bits”のメンバーを勝手に覚えてしまっている。

あとのもうひとりは本当に女の子みたいな容姿をしていた。確か…しの…、しの………

「まって、忍(しのぶ)ちゃん！そこコードがあるんだぜ。転んじゃう。」

「あわわ、危なかったでござる。ありがとう、光くん」

しのぶ?

「しのぶも“Ra*bits”なの? 友也、ミツル、あとひとり1年生がいたよね」

でも変だな、なずの写真見た時は髪色が水色だったと思うんだけど。

Aの言った言葉に、ふたりは目を見開いた。
そしてシノブは口をパクパクしながら全力で首を横に振り出した。

「ち、ちちち違うでござる!! 断じて拙者はRa*bitsではないでござる！」

「あ、そうなんだ。ごめんね」

「シロちゃん先輩が言ってるもうひとりの1年生は、創ちゃんだぜ?」

「ハジメちゃん…、そっか」

しのって名前じゃないのか。
俺の勘違いなだけか。申し訳ないな、何か。

「ほんとごめんね、シノブ」

ダンボールを持ったまま、ドアを開ける。
暗い教室から出てシノブを見ると、シノブは笑顔で頷いてくれた。

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